いつもの憂鬱な朝

作者:中田かなた

【『嘘つき少年の異世界謀略ゲーム ~異世界で領主に成り上がった少女を連れ戻します~』新シリーズ開始記念特別短編3本目!!】
いつもの憂鬱な朝

※ネタバレ注意!!
『嘘つき少年の異世界謀略ゲーム ~異世界で領主に成り上がった少女を連れ戻します~』のネタバレが含まれております。本編を読了後にお読み頂くことをお勧めいたします。



 アニーが目を覚ますと、そこはいつもとは違う部屋だった。
 正確には、総務省職員の佐藤カスミの部屋である。
 昨晩、カクシにゲームで負けたアニーは、佐藤の家に泊めてもらうことになった。そこでアニーを待っていたものは、温かい風呂に柔らかい布団。漫画喫茶では味わえなかった安らぎが彼女を優しく包み込んだ。
 ここは天国に匹敵するような世界なのかもしれない。ここは、ウェストボーン王国よりもよっぽどいい場所だ。アニーはそう考えた。
 隣では、佐藤が毛布を敷き布団にして眠っていた。だが、少しすると、一斉に家中の目覚ましが鳴り始めた。アニーがおろおろしていると、佐藤は疲れた様子でそのアラームを止め、布団から起き上がる。
 そして、大きなため息をついた。

「あ、あの、大丈夫?」
「え? ああ、アニーさん。ああ、いたんだったわね。大丈夫よ」

 そう言って、佐藤はゆっくりと立ち上がった。
 どう見ても、まだまだ疲れは抜けていない。だが、佐藤はふらふらした足取りで、朝の支度を始めた。その姿を見たアニーは、こちらの世界に戻りたがらないナツメのことを思った。
 どうやら、便利で快適になった分、他のところに歪みが出来ているらしい。

「佐藤さん、手伝うわ」

 アニーは立ち上がると、佐藤の隣まで行った。
 こちらはこちらで色々と大変なようだ。

【次回は12月4日更新予定です】

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