第三編 二章の1 大人と子ども

作者:緋月 薙

二章の1  大人と子ども



(SIDE:イリス)

 レミリアさんや、おじいちゃんとのお話しが終わって。
 リリーさんは自警団のみなさんがいるところに行きましたが、わたしたちはちょっと遊んでから、もう一度リーゼちゃんのお家に向かっています。
「みぎゃ、みぎゃっ♪」
「うんっ。すべり台、とっても楽しかったね♪」
「みゅっ! みゅう!」
「うん、大丈夫。ハールートさんと精霊さんたちが、ずっと溶けないようにしてくれるって言ってたから。明日もまた遊べるよ、リース?」
「リーゼも楽しんでたもんな?
『きゃ~~!』って叫んでたけど、顔はニコニコで!」
「うっ……い、一番楽しんでたの、エリルくんだったでしょ!?」
 あのすべり台はとっても楽しくて、みんな大好きになりました!
 とくにウィルはわたしと、リースはリーゼちゃんといっしょにすべるのが気にいったみたいで、『あしたも遊ぼう』って言ってます。
「おかあさんも、あしたは、いっしょにあそぼ?」
「あ、あはは……私はちょっと、遠慮しとくわね? ――それにしても、それだけ気に入ったのなら、ハールートも作った甲斐があったわね♪」
 たしかにハールートさんは、わたしたちが楽しく遊んでいるのを、うれしそうに見守ってくれていました。
 ……だけど。あのすべり台を作ったのは、別の理由もあったみたいで――
「――楽しんでもらえて喜んでいたのは確かだけど……多分あれって、術の練習だったんじゃないのかな? 例えば……周りに被害を出さない精密操作とかの」
「……聞こえてたの、おとうさん?」
 おとうさんが、ちょっと困ったみたいに言ったとおりで。
 ハールートさんはちっちゃな声で『これだけ細かく制御出来れば、乱戦でも被害は出まい』ってよろこんでました。
「あ、やっぱりそうだったんだ? ――聞いてなかったけど……日蝕の時、街中の敵に手出しが出来なくて悔しそうだったからね。『やや不得手(ふえて)な水系統の術』って所でピンときたよ。水系統なら上手く使えば被害は出にくいし、使い勝手も良いしね」
 火は燃えひろがってしまいますし、土は空ではつかえません。風の術も便利なのですが……風を『ぎゅっ』ってした術は、解くときに失敗するとアブナイんです。
「そういう事、だったのね。喜んでいた時に叱って、悪い事したかしら……?」
「……いや。あの時は単に、喜んでもらえて浮かれ過ぎてただけだと思う。――爺バカこじらせて暴走する古竜なんて怖いから、アレは良いと思うよ?」

 と、そんなお話しをしているうちに、リーゼちゃんのお家に到着です。
「リースの事、どうやって話そうかな……」
「ちゃんと全部話せば、大丈夫だと思うわよ?」
 ふつうのお食事のお店だと、動物を飼うのはダメなことが多いらしいです。
 だけどリースはとっても賢いので、たぶん大丈夫だとおもうのですが……。
「みゅう……?」
「――うん。大丈夫だよ、リース? ……そうだよね。『お母さん』の私が、ちゃんとしないといけないよね……!」
 心配そうなリースの頭をなでてあげて……リーゼちゃんは、覚悟を決めたようです。
「がんばって、リーゼちゃん……!」
「ありがとう、イリスちゃん! ――じゃあ、行きます……!」
 そう言って、お店に入っていくリーゼちゃん。わたしたちも続いて入ります!
「ただいま! ――お母さん、お父さん……!」
「あらリーゼ、お帰りなさい。皆さんも……では、お話しは中で――」
 リーゼちゃんのおかあさんが、ぜんぶ言いおわる前に、リーゼちゃんは言いました。

「子供が出来たので、家で育てさせてください……ッ!」

『――ピシッ』
 そんな、まるでヒビが入ったような音が、お店中から聞こえた気がしました。
 ――あれ? なんでお店中のヒト、みんな止まっているんでしょう……?
 おとうさんは外でウィルとリースの事を見てくれているみたいで、お店に入っていませんが……エリルくんとフィアナさんも、固まってしまっています。
 うごけるのは――わたしとリーゼちゃんとアリアちゃんだけみたいです!
「…………まぁ、さぁ、くぁああああああ……!」
 と、そんな時。お店の奥から……なんだかとってもコワイ声が――!?
 そっちを見ると――リーゼちゃんのおとうさんが、すっごく怒った顔で、体をふるえさえながら『のっしのっし』っていう感じで歩いてきて……!

「貴様の子かああ、エリルぅぅうううううううううッ……!!」

「――ホワッ!? な、ち、違うよ!」
「嘘こけやあああああ! ウチのリーゼが子供作ってしかも育てたいなんざ、お前が相手としか考えられんだろうがああああああああッ……!!」
「なっ、お父さん何を言って――はッ!? ち、違うよ! そういう意味じゃないから!!」
「エリルを庇う気かリーゼぇ……!!」
 ――こういうのって、たしか……『修羅場』っていうんでしたっけ……!?
 なんでこんなことになっているのか分かりませんが、なんとかしないと大変です!
「あ、アリアちゃん! どうしよ――……アリアちゃん?」
 さっきまで横にいたアリアちゃんが、いなくなってます!?
 どこ行ったんだろうって捜したら――いました! いつのまにか、リーゼちゃんのおとうさんのすぐ近くにいて――
「――おじさん、だいじょうぶ、だよ?」
「あ!? 庇いだての言葉なんか――」
 アリアちゃんを、リーゼちゃんのおとうさんがにらみます。だけど気にせずに。

「――おにいちゃんに、そんなどきょう、ないよ?」

「「「「「 …………言われてみれば 」」」」」
 アリアちゃんの言葉に、店のあちこちから声があがりました。
「……イリス、何があったんだい?」
「み?」 「……みゅ?」
 騒ぎが聞こえていたみたいで、おとうさんとウィルたちも、お店に入ってきました。
「あ、おとうさん。――アリアちゃんすごいね! 一言で、みんなおちついたよっ」
「……その代わり、今度はエリル君が固まっちゃったけど、ね?」
 動けるようになったらしいフィアナさんに言われて見てみると……本当です。エリルくんは、まるで凍ってしまったみたいに固まっています。
「え、エリル君!? しっかりしてエリル君……!」
「……リーゼ? 俺ってそんな、知れ渡ってるレベルで、ヘタレかな……?」
「………………ソンナコトナイョ?」
「――ごふっ」
「エリル君!?」
 あっ! エリルくんがパタッて倒れてしまいました!?
「……はぁ。私が説明した方がいいわね。――リーゼちゃんのお母さん、お父さん。簡単に事情を説明します」


 フィアナさんがリースのことを話すと、お店中からおどろいた声と――なぜか『ほっ』っていう、安心したように息をはく音も聞こえました。
「……なるほど、そういう事でしたか。――信じていたぞ、リーゼ」
「――お父さん、最低……!」
 ……ごまかすみたいに言ったリーゼちゃんのおとうさんは、リーゼちゃんの一言で泣きだしてしまいましたが。
「エリル君は何も悪い事してないのに、お父さんのせいで凄くショック受けたんだよ? ――お父さん、エリル君に謝って!」
「……いや、リーゼ。エリル君に精神攻撃かましたのは、アリアちゃんとお前――」
 リーゼちゃんのおとうさんは反論――しようとしましたが、その前に。
「――アナタ?」
「はい。……エリル君。私の早とちりで迷惑をかけた。――すまなかった」
「……ア、ハイ」
 リーゼちゃんのおかあさんが、ちょっとコワイ感じで言うと、リーゼちゃんのおとうさんはすぐにエリルくんにあやまりました。
「それで……えっと、リースちゃん、だったかしら?」
「みゅぅ?」
 リーゼちゃんのおかあさんは、リースを呼んで。全然こわがらないで近づいてきたリースを抱きあげました。
「――私は、あなたの『お祖母ちゃん』になるのかしら? よろしくお願いね?」
「――みゅ? みゅう♪」
 嬉しそうな声でごあいさつするリースに、リーゼちゃんのおかあさんも嬉しそうです。
「竜の孫が出来るなんて想像もしてなかったけれど……嬉しいものね」
「っていう事は――一緒に暮らして、いいの?」
「ええ。――ウィル君を見ているから、賢いっていうのは分かっているし、ね?」
「ありがとう、お母さん! ――リース! 一緒に暮らして良いって♪」
「みゅうぅっ♪」
 リースも、とっても嬉しそうな声をだしてリーゼちゃんに抱きつきました!
「良かったね、リーゼちゃん!」
「みぎゃっ♪」
「ありがとうイリスちゃん、ウィル君も!」
「みゅぅ♪」
 わたしといっしょにウィルも、リーゼちゃんとリースのところに飛んできて。
 嬉しそうに『ありがとう』って言ってくれるリーゼちゃん。リースも飛んできたウィルと手をつないで、とっても嬉しそうな鳴き声です♪
 おとうさんも、フィアナさんも、アリアちゃんも。そしてお店にいた他のお客さんたちも、みんなとっても優しい笑顔です。
 ……エリルくんはまだ『ぼー』ってしているし、リーゼちゃんのおとうさんは『娘に嫌われた……』って泣いていますけど――あ、そうだ!
「ねぇねぇ、おとうさん、フィアナさんっ。ちょっと教えてほしいことがあるのっ!」
「――ん? なんだいイリス?」
「あら、何かしら?」
 笑顔でそう言ってくれる、おとうさんとフィアナさん。
 だからわたしは、安心して『それ』を訊きますっ♪

「――ほんとうは『子ども』って、どうやって作るの?」

『――ピシッ』
 また、そんな音がした気が――またみんなが固まってしまいました!?
「み? み?」 「みゅッ!?」
 ウィルは『どうしたの? どうしたの?』って言ってますし、リースは反応が無くなったリーゼちゃんを心配しているみたいです。
 ――あ、でもお客さんの中に、一人だけ無事な男のヒトがいます!
 そのヒトは、ちょっと頬をあかくして、ハァハァってしながら。
「……そ、それなら俺が、丁寧に教えてあげ――」

「「「「「 死ねよ 」」」」」

 ――ッ!? 固まってたヒトがみんな復活して、いっせいに『死ねよ』って言いました!?
 あ! しかも精霊さんたちが――!?
「ぎゃあ!? ごぼッ!? がッ!?」
 ……さっきの男のヒトが、いきなり燃えて、すぐに水のかたまりに包まれて、最後におっきい石が頭にあたって、たおれてしまいました!
「――えっと、精霊さんたち? なんで……?」
 連続で攻撃した精霊さんたちに訊いてみると……精霊さんたちは姿をみせて。
 『この子たちに変なコトするヒトは、わたしたちがやっつけるのー』
 『『 焼死、溺死、圧死、失血死、どれがいい? うふふふふ…… 』』
 他のヒトにも聞こえるように言ってから、姿をけしてしまいました。
 ――ちょ、ちょっとほんきで怒ってます!?
 ほとんどのヒトが顔をあおくしている中で、フィアナさんが訊いてきました。
「――イリスちゃん? なんで今、あんな事を訊いたのかしら……?」
「え、えっと――さっきリーゼちゃんが『子供が出来た』っていったら、リーゼちゃんのおとうさんが怒ったから……なんでなのかなって」
「……ああ、そういう事ね。――どうする、カリアス?」
「う、うん。いつかは誰かが教えなきゃいけない事、なんだけど……」
 おとうさんは、そう言ってすこし考えます。……フィアナさんもだけど、ちょっとお顔があかいのは、なんででしょう?
「――あのね、イリス? 女の人が子供を産むのは大変だから、本来は身も心も大人になってからじゃないとダメなんだよ。……だから『子供を作った』って聞いたリーゼちゃんのおとうさんは、怒ったんだよ?」
「そうなんだ……じゃあ、わたしはまだ、教えてもらえないの?」
「……いつかは絶対に教えるよ? だけど、いつ教えるかは――ちょっと考えさせてくれないかな? イリスの将来の事だから、ちゃんと話し合って決めたいんだ」
 わたしの頭をなでながら、おとうさんはそう言ってくれました。
「いつか、おとうさんが教えてくれるの?」
「――へっ!? ……こほん。女の子には、女の人が教えるのが普通……かな?」
 ということは、フィアナさんが教えてくれるのでしょうか?
 ――あ、そうだ。フィアナさんは、もう大人だから……。
「フィアナさんはもう、子供作ったことあるの?」
「――ふえぇッ!? なっ!? は、いえ、その…………ない、です……」
 あれ? フィアナさんが、まっかになって……うずくまってしまいました?
「えーっと……イリス? そういうのは本来、結婚した男女がする事だから……ね?」
「そうなの? ……あ! じゃあリーゼちゃんのおとうさんとおかあさ――」
「さあ~て! 皆さん昼食は摂りましたか!? お腹が空いてないですか!? 詳しい話も聞きたいですし、奥で軽く(つま)みながらお話ししましょう!!」
「はーっはっはっは! パパ腕に()りをかけちゃうぞぉ~!!」
 リーゼちゃんのおとうさんたちは、わたしが言い終わるまえに行ってしまいました。
 お店の中のヒトも、みんなちょっとお顔があかくて、こっちを見ないようにしている気がしますし……どうしたんでしょう?
「みぃ、みぎゃ?」
「みゅー?」
 のんびりしているのは……『みんな、たいへんそうだね?』『ねー?』って言いながら、テーブルの上でゴロゴロ転がって遊んでる、ウィルとリースだけでした。


「……まさか、教皇様から認められる程だなんて――」
「お気持ちはわかりますが……リーゼちゃんがやった事も、その存在自体の価値も、それだけの意味がある事なんですよ?」
「ええ。教皇は、仕事にノリや酔狂を持ち込む人では…………ありませんよ?」
「……今の間はなんですか?」
 ここはリーゼちゃんの家。お店の奥の、リーゼちゃんたち家族用の食堂です。
 おとうさんとフィアナさん、リーゼちゃんのおかあさんの大人組はお話し中ですが、わたしたち子ども組は、ちょっと遅いお昼ご飯をたべています♪
「みゅうっ♪」
「美味しい? 良かったぁ。リースもウィル君も、いっぱい食べてね?」
「みぎゃ♪」
「……リーゼおねえちゃん。わたしもおかわり、いい?」
「アリア、本当によく食うよな……どこに入ってるんだ……?」
 リーゼちゃんのおとうさんが『お礼とお詫び』ってことで、ごちそうしてくれてます。
「リーゼちゃんの家のご飯、とってもおいしいね♪ わたしもお料理、フィアナさんに教えてもらってるんだけど――もっとがんばらないと……!」
「イリスちゃんも? 私も勉強中だから、今度一緒にお料理しない?」
「わぁっ! いいね、楽しそうだね♪」
 できればフィアナさんやアリアちゃんもいっしょだと、もっと楽しそうです♪
「うんっ! この様子だと……ちょっとくらい作り過ぎちゃっても大丈夫そうだし」
 リーゼちゃんが笑いながら言って、見ているのは――ウィルとリースです。
 まだちっちゃいのに『どこに入ってるの?』って思うくらいに食べているのは、さすが『竜』って思います。
 ……それを言うと『じゃあ、アリアちゃんは?』ってなるんですが。
「っ、……みぎゃぁ」
 ――あ。ウィルの食べる手が止まりました。
 見ると……やっぱり、お肉がのこってて『食べたくない……』ってお顔です。
「みゅぅ……」
 ――あれ? リースもウィルと同じような顔で、食べるのを止めてます。
 見るとリースのお皿には、お野菜がいっぱいのこっていて。……リースはウィルの反対で、お野菜が苦手なのかな?
「……み?」 「……みゅ?」
 ――ウィルとリースが、お互いがのこしているモノに気づきました!
 お互いのお皿を見て、自分のお皿を見て、顔を見あわせてから……。
「…………みー」 「…………みゅー」
 お皿を『つー』って滑らせて、相手のと交換して。
「みぎゃっ♪」 「みゅっ♪」
 パクッて、おいしく食べました!
「こらぁ! ウィルもリースも、好き嫌いはダメだよッ!」
「みぎゃっ!?」 「みゅうッ!?」
 ……堂々とやってたのに、そろって『見られてた!?』って言ってますが――見られなければいいっていうコトではありませんっ!
「……あはは、ごめんねイリスちゃん。見てておもしろかったから、傍観してたよ……」
「ダメだよリーゼちゃんっ。好き嫌いは、ちっちゃいうちになおしておかないと!」
 どうしても食べられないなら仕方ありませんが、そうじゃないなら早くなおさないと、損するのはウィルたちです。
「そうだね。イリスちゃんは『おかあさんの先輩』だね♪ ――あ。…………イリスちゃん、ちょっといいかな?」
「え? なあに?」
 リーゼちゃんが、食堂の外にわたしを呼んで……あれ?
 ――たしかウィルのときも、こんなことなかったっけ……?
「……その、イリスちゃん。ちょっと聞きたいんだけど――ウィル君のおトイレって、どうしてるの……?」
 ――やっぱりこのお話しでした。あのときは、たしかこの後……。

パタパタパタ ぱたぱたぱた
「み~っ!」 「みゅ! みゅ! みゅぅ~!」

 本当にきましたっ! ――あれ? でも今、わたしたちの前を飛んでいったのは……あわててるのはリースだけで、ウィルは励ましながら案内しているみたいです……?
「い、イリスちゃん? あの子たちは何しに……?」
「えっと、ウィルのときと同じなら、おトイレだと思うっ」
 わたしたちが追いかけると、二匹はやっぱりおトイレに着いて。
「みっ!」 「みゅうぅ~っ!」
 ウィルがおトイレの扉をあけると、リースがあわてて入っていって。
「みぃ~♪ ……み!」
 リースが入ったのを確認してから、ウィルは扉をしめて、満足そうな声をだしましたが――なにかを思いだしたみたい……?
「みぎゃ……っ」
 ウィルが声をだすと、ウィルやリースのまわりにいた精霊さんが姿を見せて。
「――みっ」
 ウィルが『ぺこっ』ってお辞儀すると、精霊さんたちは『がんばるよっ』って言って、嬉しそうに飛びまわりはじめました。
「あらあら。しっかり『おにいちゃん』しているみたいね♪ ――あの時のイリスちゃんを見習ったみたいだし」
「あ、フィアナさん!」
 いつのまにか、フィアナさんが後ろで見ていました。
「えっと……どういう事、なんでしょうか?」
「ウィルの時も、似た様な事があったのよ。……精霊が道案内とかトイレのお世話とか、してくれているみたいなんだけど――それが分かった時にイリスちゃん、さっきのウィルみたいに『うちの子をお願いします』ってやったの」
「なるほど……ウィル君はそれを見習って――じゃあ、私も見習いますね♪」
「――え? あ、わたしもいくっ」
 ニコッて笑って、ウィルのほうにいくリーゼちゃんに、わたしもついていきますっ。
「――ウィル君? リースの面倒を見てくれて、ありがとうね?」
「ウィルっ、ちゃんと『おにいちゃん』してて、エライね♪」
「みっ!? ――みぎゃっ♪」
 わたしとリーゼちゃんが言うと、ウィルはちょっと驚いたみたいだけど、すぐに嬉しそうな声をだしました。
 そんなカワイイ子どものウィルを、ぎゅって抱きしめていると。
 リーゼちゃんは、まだ姿を見せたままの精霊さんたちに向かって。
「――リースのお世話、ありがとうございます。これからも、よろしくお願いします」
 精霊さんたちは応えるように、元気に光って、嬉しそうに飛びまわってから、姿をけしていきました。
「……みゅぅ?」
 そのとき、ちょうどおトイレの扉が開いて。
 わたしたちを見たリースが、『なにしてるの?』って、首をかしげました。
「……いい『おにいちゃん』が居て、よかったね、リース♪」
 笑顔でリーゼちゃんが言うと、リースはちょっとフシギそうな顔をしたけれど。
「みゅうっ♪」
 とっても嬉しそうな声で、お返事しました。


(SIDE:カリアス)

『こんにちは、お兄様、お姉様――あら? 今日はイリスちゃんたちは居ないのですか』
『お前たちだけで通信というのは……何かあったという事か?』
 映光玉が作り出す光の映像の中、彼方(かなた)の地のレミリアと養父さんが話しかけてきた。
 今回は二人とも。出オチも無い普通の登場。
 ……昨日、初対面の人の前でやらかしたから、警戒していたのかな?

 リースを迎えた日の翌日、昼過ぎ。
 僕はフィアナと二人だけでハールートの住処を訪れ、レミリアたちと連絡をとった。
「イリスたちは教会に居る。……『何かあった』というのは正解だよ」
「今日は……ちょっと、相談したい事ができたのよ」
『……相談したい事、ですか?』
『ふむ……ハールート殿でも足らない事なのか?』
 ――もちろんハールートにも、既に話はしたけれど……。
『我では足らぬというより……相談相手としては不適切であろう。なにせ……のう?』
「……ええ。――イリスの性教育、どうしよう……?」
『『 …………うっわぁー…… 』』
 二人は即座に『厄介な問題』と理解したらしく、頭を抱えて憂鬱(ゆううつ)そうな声を出した。

      ◆      ◆

『――叶う事でしたら、その場に全くの傍観者として居合わせたかったですね』
 昨日の事を説明したところ、最初にレミリアが口にしたのは、そんなセリフだった。
「……言ってる事も分からなくはないけど、正直言って勘弁してほしかったわ……」
 公衆の面前で『経験』の有無を公言する形になったフィアナが、疲れ果てた様子でそう言った。……確かに、あの一件での一番の被害者は彼女だろう。
『【天然】とは恐ろしいものだな……。ところで――その街の一般の子供の場合、そういう教育はどうなっているんだ?』
「――学校はあるから、そこで教わるみたいだね。ただ……教師・職員ともに人手不足らしくて。両親や家庭教師に教えてもらえたりで学力が一定以上ある子は、出来れば遠慮してほしいっていうのが、そこの本音みたいで……」
「教会在住で色々と知れ渡っているイリスちゃんは、少し入れづらいのよね……」
『……聖殿騎士と上級精霊術師、そして古竜たる我からも知識を得られる聖女。――その教師になど、なりたいと思う者はおらぬだろうしな』
 ――うん、それも問題。イリスを担当する教師の重圧は……ちょっと想像したくない。
 ちなみにエリルとリーゼちゃんも、以前は通っていたらしい。だけどリーゼちゃんが背中の刻印を理由にイジメられた一件をきっかけに、二人とも学力は十分だし、親が商売人で引き続き教育も出来る環境だからと、通うのを止めたそうだ。
『……そこら辺は、国の宗主としてお詫びいたします。――地方都市の教育に、もう少し予算を割り振る必要があるかもしれませんね……』
『その話はとりあえず、この通信が終わった後にでも。――で、イリスちゃんのことだが……成り行きに任せる、という手は無いのか? リーゼちゃんも居るし、教会の女性職員とも話をしているんだろう? 自然に知りそうなものだが……』
「無理だね」 「無理ね」
 養父さんが語った、ある意味で逃げ道である提案を、僕とフィアナは同時に却下した。
「……イリスの周りの精霊たち、かなり過保護なんだよ。しかも当人(?)たちは繁殖が必要無いせいか、ちょっと男女関係に潔癖なところがあるし……」
『……我が言えた事でも無いと自覚はあるが――奴らは冗談抜きで、今後イリスに近づく男を全て排除しだしても、おかしくはないな』
「過保護な保護者が常に複数ついている状態だから――私たちが『そういう方針だから』って決めて納得させない限り『偶々知ってしまった』なんて事は起こり得ないわね」
『……理解しました。早々に方針を決めない限り、将来的にイリスさんは結婚はおろか……まともな恋愛も難しいかもしれませんね』

 ――と。問題意識を共有出来たためか、その後の話し合いはスムーズに進み。
 現在13歳のリーゼちゃんが『知っている』のだからと、今のイリスの外見年齢を考慮して『あと二年後に教えよう』という事になった……のだけれど。

『――では教本の選別などは、こちらにお任せください♪ ……あ、そういえば。アリアさんはそっち方面、どうするのですか?』
 ……多分、深い意味無く訊いたのだろうけど。
「アリアは、ねぇ……?」
「――ええ。アリアは、多分いろいろ『知っていそう』なのよね……」
『は? 遺跡に封印されていたのに何で……ああ、そうか。封印される前、稼働していた遺跡で暮らしていたんだったか。そこでいろいろ知ったと?』
 養父さんが予想した通り、アリアは封印前の生活で、かなりいろいろ学んでいそう。
 ただ……それを訊くのは、心情的にやや難しく。
「……『何』を『どこまで』知っているか訊くのが怖いっていうのもあるんだけど……。それ以上に、もう戻らない生活の話を訊いていいのかな、って――」
 アリアが封印されたのは、数千年前。ハールートという例外は居たけれど……当時のアリアの知人が生きている可能性は、限りなくゼロに近い。
 その当時の事を思い出させるのは……アリアにとって、酷ではないだろうか?
『……なるほど。――そこら辺はどうなんですか、ハールートさん?』
『――ふむ。……基本的にアリアは【研究成果】または【実験体】として見られておった。そのため大切にはされておったが、【人間の少女】として扱う者は……いや』
「――ハールート?」
 何かを思い出したらしく、記憶を巡らせているらしいハールート。やがて――
『……アリアの世話係の様な、若い女性はおった。最初は他の者と同じ様な対応だったが……最後には、部屋に遊びに行く程の仲になっておった』
「……なるほど。多分、そこでいろいろと知ったのね。――あの子、何気に好奇心旺盛(おうせい)だし、置いてある書物とか勝手に読んだりしてそう……」
 ――アリアは観察力もあるから、他にもいろいろ見て覚えている可能性は高い、か。
 そして同時に、アリアに仲が良かった人が居た、という事実は……。
『――そういう事なら、当時の事を訊くのは可哀そう、かもしれませんね……。まぁ、イリスちゃんに教える時に確認すれば、どうとでもなりそうですね♪』
 暗い雰囲気になりかけたところで、レミリアが少し戯けて言ってくれた。
 それに皆が、笑顔で同意――したところで、さらに言葉は続き。
『……それより、少々意外に思ってしまった事があるのですが――』
「 ? 何だい?」
 なんだかレミリアが、気まずそうに僕の方を見ながら言ってきたので、訊き返すと。

『――お兄様、ちゃんと【そっち方面】の知識、持ってらっしゃったんですね?』

「……はい? いや僕くらいの歳で、持ってないわけ無いじゃないか。――ねぇ?」
 レミリアの冗談(?)に、僕はそう言ってフィアナと養父さんを見ると。
「――あれ? なんで二人とも顔を逸らして――ハールートまで!?」
『……う、うむ。知っていて然るべき、とは思うのだが……のぅ?』
「カリアスなら、知らなくても不思議じゃない、って……ねぇ?」
『日頃の行動を見てると、むしろ知らない方が納得できるというか……なぁ?』
 …………そんなに僕は『天然』という認識なのだろうか。
 気分がとことん沈んでいく――だけど、この方面においては僕にも言い分はある!

「『当分女性に興味は持つな』って言ったの、養父さんじゃないか! だから僕は、この方面は慎重に――昔からいろいろ自制してきたんだけど!?」

『……あら?』 『……む?』 「……はい?」
『――は? いやいやいや! そんな事を言った記憶は――』
 養父さんは、どうやら覚えていないらしい。だけど僕は、ハッキリ覚えていて。
「八年前、養父さんが『ただ一晩お酒に付き合っただけなのに、【子供が出来た。責任とって】と言われた』って一件があったよね?」
『あん? ……ああ、あったあった。アレは本当に無実だぞ? だからあの後――あ』
 そこまで言った養父さんの頬が、徐々に引きつっていく。――思い出したかな?
「『やってない事を証明する難しさ』を延々と語った上で『ある程度の地位を持つと、女性関係の罠が一番怖い。お前も聖殿騎士になるなら気を付けろ。いっそ興味が無いと思われていた方が面倒が無いな――当分、女性に興味は持たない方が安全だ』って」
 あの時、養父さんは珍しく酒をかなり飲んでいたけど。
 あの頃の僕は世間知らずだったし、素直に養父さんに憧れていたのもあって、言いつけは忠実に守ろうとしていたっけ……。
 後になって『……少し行き過ぎじゃないかな?』って疑問に思い始めたけど……その頃には聖殿騎士の修行とかで、そんな余裕無くなっていたし。
『……おじさま。お兄様の八年前って――9歳の子供に何を教え込んでいるんですか!?』
「……カ……タ……いか……」
『い、いえ、あの時は俺も余裕が無かったというか――ん? フィアナちゃん……?』
 レミリアと養父さんが言い合う中。俯いたフィアナが、何かを小声で呟きながら、まるで力を溜めている様に、小さく震え――

「――カリアスがこんなのになったの、アンタのせいかああああああッ!!」

 過去類を見ない程の激昂と共に、叫びを解き放つフィアナ……って、『こんなの』?
『お、お姉様!? 気持ちはわかりますが、落ちついてください!』
「落ちついてなんかいられないわよ! 裏で手を回したり鉄拳制裁したりしながら、何回カリアスの男色疑惑をもみ消したと思ってるの!? 私自身もスルーされてるのに!!」
『そんなんあったの!? すまなかったフィアナちゃん! まさかあの発言で、カリアスがこんな【ド】付きの鈍感な天然ジゴロになるなんて夢にも……ッ!!』
 …………当人不在のまま、そんな熱い口論が繰り広げられているけれど。
「ハールート?」
『……なんだ、カリアス』
「何気に僕、かなりボロボロに言われてません……?」
『……フィアナも、色々と溜まっていたのだろう。――お主の日頃の行いだ』
 ――とりあえず。フィアナとは、あとでゆっくりはなしあおうと、おもいました。


『――お姉様、落ちつきましたか?』
「……なんとか、ね」
 そう応えたフィアナは――今度は恥ずかしくなったらしく、蹲ってしまっていて。
 ……なんだかその仕草が、妙に保護欲(?)を掻き立ててきて――
「えーっと? 何だか色々、迷惑かけちゃってたみたいで……ありがとう、フィアナ」
 そう言って、ついイリスやアリアにするみたいに、頭を撫でてみたんだけど。
『――お兄様。見ている分には微笑ましいのですが……お姉様が立ち上がれなくなっているので、そろそろ止めた方が……』
「え? 押さえ込んではいないけど――」
 言われ、改めてフィアナを見ると。……俯いたフィアナの表情は見えないけれど、綺麗な長い髪の間から見える耳が、真っ赤になっていた。
「――あ。その……ごめん。でも、本当に感謝はしているよ……?」
「…………(こくり)」
 真っ赤な耳のフィアナは、俯いたまま、小さく頷いてくれた。
『それにしても――しっかり女性に興味があったという割には、お兄様の浮いた話を聞いた記憶が無いのですが……ちなみに、初恋などは?』
 とても意外そうに訊いてくるレミリアに『僕はそこまで堅物だと思われていたんだろうか』などと思っていると……不意に、肩に手を置かれた。
「カリアス。私も気になる。――何処(どこ)の誰? ちょっと詳しく教えて」
「……いつの間に復活してたの、フィアナ? ――まぁいいけど。僕の初恋……?」
 ――記憶を(さかのぼ)って………………あれ? 思い当たらない……?
 かといって、僕は恋をした事が無いのかというと――それも、なぜか釈然としない。
 ――なんだろう、このモヤモヤして感覚は……?
『……まさかお前、初恋もまだとか言わないよな?』
「――う、それは無いと思うんだけど、何故か思い当たらない……と、ところでレミリア!遺跡関連はそっちでも調べてみるって話だったけど、何か成果は出たのかい?」
 ――と、半ば苦し紛れに訊いてみると……思いの外、劇的な効果があった。
『偶然でしょうが……誤魔化すために、よりにもよってソコを突いてきますか……』
 映像の二人は、共に神妙な面持ちになり。その声を聞いて、蹲っていたフィアナも顔を上げて、二人に問いかける。
『……精霊殿にも問い合わせて、あの紋章が使われた場面などを調べたんだが――』
「それは調査が進んでいないの? それとも……『良くない調査結果が出そう』なの?」
『……後者、ですね。――リリーさんたち、自警団の方々の調査次第なのですが……お兄様とお姉様にも、例の遺跡の【門】に、向かっていただく必要が出るかもしれません』
 苦い表情で言うレミリア。だけど……それは、なんとなく僕自身も『そうなるかな』って思っていた事で。
「……正直言って、僕が『旧王家の末裔(まつえい)』で、ここの地下に『旧王家関連の紋章』があった時点で、そうなる事は予想していたよ?」
「そうねぇ……まぁ、巻き込まれるだろうなーとは思っていたわよ?」
 苦笑いと共に、そう言い合う僕とフィアナ。さらにハールートも口を開き。
『我もそうなるであろうとは思っておったが……懸念するのは、リーゼも行く必要が出るのでは、という事だ。――その点は、どう思う?』
『……そうならなければ良い、とは思っています。――そして、もしそうなった時のために……お姉様?』
「――何かしら?」
 何気無くを『装って』掛けられた声に、フィアナも同様に返すと。
『――力は、必要ではありませんか?』
「…………それ、何を言っているか分かっているのよね?」
 レミリアが口にした言葉の意味に、フィアナは一瞬呆気にとられた様子で。
 僕も……『それ』を知る者として、少し驚きながら――話の続きを聞いた。

『――はい。教皇として――そして教皇家の現・家長として。我が姉フィアナに、聖術使いとしての許可を与える事ができます。――いかがなさいますか?』

 一般的には――聖術か精霊術、どちらかしか修得できないのが『常識』。
 聖術に必要な『天の祝福』、精霊術に必要な『精霊の加護』。
 操るにはそれらを感じ取れなくてはいけないのだけれど――どちらかを使った時点で、もう片方を感知する事が困難になってしまう。
 更に『天の祝福』が少ない者は聖術が使えず、逆に『天の祝福が多過ぎる家系』の者は精霊術を使えないなど、生まれつき片方しか使えない者も居る。
 現に僕やレミリアは、血筋のせいで精霊術の使用が一切出来ない。
 だけど……何事にも例外があって。
 例えばイリスの様に聖術・精霊術、両方の特殊な資質を持って生まれた場合。
 そして――フィアナの様に、『天の祝福が多過ぎる血筋の者』が偶々、強力な『精霊の加護』を宿して生まれた場合。――または、その逆もあるけれど。

 生後間も無いフィアナが、教皇家から放逐された理由は……実は『聖術の資質でレミリアに劣っていたから』だけではなく、むしろ『教皇家の者なのに、精霊術の資質も持って生まれたため、扱いに困ったから』という方が大きかったと聞く。

 希少な『聖術と精霊術の両方を使う者』となると、素性を調べる者も出てくるだろう。
 そうなると、教皇家との関係が明かされる危険性がある。
 そう予想されたために――フィアナ本来の力は、今まで封印されていたのだけれど。
「――当然、力は欲しいわよ。だけど……大丈夫なの?」
『お姉様たちがイグニーズで積んだ実績を考えれば、今さら教皇家との繋がりがバレたところでマイナスにはなりません。……むしろ上手く【教皇家の遠戚】という事に出来れば、プラスにすらなりそうですし♪』
「……じゃあ、むしろなんで今まで封印したままだったの?」
『文句付ける奴は居るからな。そこら辺を捻じ伏せられる実績が必要だったのと――後は、わざわざ封印を解くための大義名分が欲しかったんだわ』
 実績は、二度に渡るイグニーズの街の防衛。
 大義名分は……稀有(けう)な闇聖術使い、おそらく『闇の聖女』とでも言うべき存在の護衛、および旧神に関わる重要施設の調査、といったところかな?
「――なるほど。それなら封印の解除、お願いするわ。……カリアスも闇聖術を覚えるんだし、これ以上実力離されたくないし、ね?」
 不敵な笑みで言うフィアナに、思わず苦笑いが零れる。
『うふふっ♪ では、その方向で話を進めて……あ。――お姉様? 今日、イリスさんたちは教会に居るとの事でしたが、リーゼさんも居るのですか?』
 何かを思いついた様に、一度言葉を止めたレミリアは、フィアナにそんな質問をして。
「リーゼちゃん? ええ、来ていたわよ? エリル君は家の手伝いで遅くなるって言ってたから、まだ来ていないかもしれないけど。――それがどうかしたの?」
『……いえ。封印の解除といえば、リーゼさんの解けかけている封印も完全に解いてしまった方が良いかと、思ったものですから。――ところでおじさま、少し耳を』
 イリスの話だと、リーゼちゃんの封印はもうほとんど解けているらしい。
 解いたら危険な物ではないのは分かっている上、今後は闇聖術の修得を目指すのなら、早い内に完全に解いてしまった方が良いだろう。
 ――だけど。今、養父さんに相談しているのは……本当にその件だろうか?
『――はい!? …………それはまぁ。…………っ! ……し、仕方ありませんなっ!』
 ……レミリアから耳打ちされている養父さんの表情は――『何考えてるのコイツ!?』から『言われてみれば』、『あなた天才ですか!?』『よーし、やってやりますか!』といった様子に順に変わり――おそらく、レミリアに丸め込まれたと思われる。
『――じっくりお話ししたい事があるのですが、少し急ぎの用事がございまして。すぐ戻りますので……少々お待ちいただいてよろしいでしょうか?』
「いいけど……あんた、何(たくら)んでるの?」
『そんな……『企んでいる』だなんて人聞きの悪い。――では、すぐにまた【お話ししに来ます】ので、少々お待ちくださいませ♪』
 フィアナに言葉だけの抗議をして、レミリアは通信を切り――光の映像は消えた。
 ……少し気になるのは、最後の『お話ししに来ます』という言葉。
 そして『もう一度通信する』とは言っていなかった。という事は……まさか、ねぇ?



   ◆◆◆次回更新は2月7日(火)予定です◆◆◆

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