第19編 『激走兄弟ハニ&ホー! 火竜帝襲来!』 シーン04

作者:健速

シーン04 死闘! 初レース!



 一度クランから組み立ての手本を見せて貰うと、埴輪(はにわ)もアルゥナイアも不安は払拭(ふっしょく)されたようで、手際よく自分のマシンを組み立てていった。もちろんこれにはクランが用意していた彼ら用の工具の存在も大きかったのだが。
 孝太郎(こうたろう)達の初レースが行われたのはその一週間後の事だった。孝太郎達はその一週間を使って、マシンに思い思いの調整や改造を加えている。その為、レース前の検査に持ち込まれたマシンは一週間前のそれとはだいぶ雰囲気が変わっていた。

「………お前ら、ちょっと卑怯過ぎないか?」

 自身のジープと共に並んでいる他の四台のマシンを見て、孝太郎は呆れ気味だった。その四台は孝太郎の予想を超えて、ダイナミックな改造が加えられていたのだ。

「おもにお前に言ってるんだぞ、クラン」
「大人しいものじゃありませんの、このくらい」

 クランのバギーに加えられた改造は、一見大人しいものだ。パーツに幾つも穴を開けて軽量化したり、動力用のギアを大量購入して新円に近いものを厳選したり、可動部分のグリスをフォルトーゼ製の最高級のものに取り換えたりというものだ。だが一点、目立った改造がある。それは運転席の位置に取り付けられた球状のパーツだった。

「その玉だ、玉!」
「あなたカメラぐらい良いと言ったじゃありませんの。けち臭いですわね」

 組み立ての時、孝太郎達はクランには多少のハンデがあるのでカメラを付ける程度のルール違反は見逃す事に決めた。その結果クランが作ってきたのが運転席の球体だった。この球体は彼女の技術が詰め込まれた、全方位を撮影出来るカメラユニットだ。その映像はコンピューター経由でクランの視界に投影されている。つまり彼女は運転席にいるつもりで操縦が出来るのだ。しかも正面以外の映像を解析してライバル車の位置は常に把握されている。クランは確かにカメラの映像だけを使い、疑似的にだがVRプラスレーダーという操縦環境を作り上げていたのだった。

「お前らもお前らだぞ!?」
『おいら達は違反の改造はないホー!』
『全部ルール通りだホー!』
「お前らラジコンに乗る気だろう!?」
『乗らないホー!』
『ちゃんと二ミリ上を飛ぶホー!』

 埴輪達の改造もクランに負けず劣らずだった。彼らがやったのは、自分達の車両の屋根に座席を付ける事だった。そこから操縦すれば、ほぼラジコンに乗っているような状態になる。しかも実際の運転席よりもやや高い視点と広い視野を確保している。だが本当に乗ってしまうとルール違反なので、彼らは座席の二ミリ上を自力で飛ぶ。正確で素早い空中浮遊が可能な埴輪ならではのぎりぎりセーフのインチキだった。

「アルゥナイア殿もやり過ぎです!」
(わし)のプロミネンスカイザーに何か文句があると?』

 アルゥナイアの車両は一番美しい仕上がりになっている。車体はクランの組み立てを参考に丁寧に組み上げられ、ボディの塗装は燃えるような赤に金ラメフレーク仕上げ(協力:笠置(かさぎ)静香(しずか))という、プロミネンスカイザーの名に恥じない、まるでアニメから飛び出してきたかのような大迫力マシンだった。
 一つだけキットと違っているのは、本来運転席に座っている筈のご当地キャラクターの熊が取り外されている事だ。そこには代わりに、普段のぬいぐるみ姿よりも更に小さい、数センチサイズのアルゥナイアが座っている。このミニアルゥナイアは魔力で作り出した分身で、視覚を始めとする感覚情報を本人と共有している。つまりクランよりも更に進んだVRシステムという事になるのだった。

「文句などありません。ありませんが………フフフフフフッ、いいだろう、みんながそのつもりなら、俺にも考えがある! 手加減はなしだ! ラジコンは操縦環境が全てではないと教えてやる!!」

 ライバル達の本気ぶりを感じて、孝太郎の瞳がギラリと輝く。当初は最初のレースだから幾らか手を抜いてやった方が良いと思っていた孝太郎だが、この時にはもうその気はなくなっていた。全力で走り抜き、完全勝利する。情け無用の本気モードだった。



 埴輪とアルゥナイアは他人に見られてしまうとまずいので、レースは会場の営業時間外に貸し切りで行われる。キリハの関係者に会場のオーナーがいたのが幸いした形だ。だから会場のスタンドにはキリハの姿があり、加えてその隣にはスポンサーのティアの姿もあった。ティアは皇家によるレース開催に興味があったようで、レース名を『ティアミリス杯』にする事を条件に支援を申し出た。そんな訳でこのレースは『第一回ティアミリス杯RCカーグランプリ』という名前になり、優勝賞品はすき焼き10人前になった。全ての車種がオフロードカーなので、コースはダートコースを使用。勝負は五周。単純に最速で五周回った者が勝者だった。

『ハッハッハッハァッ、ついにこの時が来たか! 燃え上れカイザー!』

 ゴォウッ

 スタート位置に置かれているプロミネンスカイザーが赤い炎に包まれる。この炎はアルゥナイアが余剰魔力を利用して作ったちょっとした幻影だが、おかげでまるでアニメのワンシーンのようだった。

『負けられないホー! ファルコン、ブレーイブウィーング!!』
『サンダートルネード、フルバーストだホー!』

 カッ

 負けじとカラマのマッハファルコンが後部のウィングを大きく展開し、ボディに引かれたラインに沿って発光を始める。またコラマが操るサンダートルネードは後部のカバーを展開、内蔵されているクリスタル状のパーツを露出させ、そこから雷光を発している。どちらも()()に発注して作って貰ったカスタム幻術だった。

「………アニメもあながち嘘ばかりという訳ではありませんのねぇ」
「違うぞー、クラン! あれは断じて普通じゃない!」

 スタートの時点で大人しくしていたのは、クランと孝太郎の二人だけ。だが大人しいのは車両の見た目だけだ。本人達はライバルたちの様子に闘志をたぎらせつつ、スタートの時を待っていた。

「よーし、みんなそろそろいくよー!」

 スタート地点の横には旗を頭上に掲げ、妙に楽しそうにしている早苗(さなえ)の姿があった。早苗は面白そうだとついてきて、スタートとゴールの旗振りを担当する事になった。彼女の旗が振り下ろされた時がスタート。その時は刻一刻と迫っていた。

「よーい………」

 早苗の旗が頭上で静止する。するとその場に来ている者の視線が全てそこへ集中した。そしてそれを待っていたかのように、早苗は笑顔全開で思い切り旗を振り下ろした。

 バサッ

「ど~~~~~んっ!!」

 キュイィィィィィィッ

 本物の自動車と比べると、ラジコンは加速性能が高い。投入された大電力によってモーターが高速回転し、五台のマシンは弾かれたように走り出した。そして先を争うようにして最初のコーナーへ突っ込んでいく。

「くそっ、ここでやはりハンデが出たか!」

 孝太郎はスタートの時点で僅かに出遅れた。その理由はウィリー走行が可能という仕様の為だった。最初のコーナーがスタートからそう遠くない位置だった為に、前輪が浮いてしまうと走行ラインのコントロールが出来なくなる。加速を抑えてステアリングが可能なようにする必要があったのだ。

『ハッハッハァッ! なぁんぴとたりとも、儂の前は走らせぇんっ!!』

 逆に先行したのはアルゥナイアだった。アルゥナイアはその卓越した動物的勘で早苗の旗が振り下ろされるまさにその瞬間に走り出した。埴輪達もクランも流石にこれには及ばず、その後を追う形になっていた。

『この程度の連続カーブ、儂には日常茶飯事! もっとだ、もっと飛ばせカイザー!』

 しかも火山帯の岩山を住処としていたアルゥナイアにとっては、切り立った狭い渓谷(けいこく)を飛び回るのが日常だった。操縦そのものに対する不慣れはあっても、コースをどう走ればいいかという事に関しては全く迷いがない。赤いボディのトラクターは、素早くしかも滑らかに、次々とカーブをクリアしていった。

『参ったホ! やっぱり怪獣のおじさんは並のドライバーじゃないホ!』
『落ち着くホ! 一周目のデータをよく見るホ! カーブで少しだけスピードが落ちているホ!』
『そうか、カイザーは車高が高い分、カーブで外側に振られるんだホ!』
『カーブだホ! おいら達のマシンはおじさんのラインの少し内側まで攻められる(はず)だホ!』

 だがレースが二周目に入った辺りから埴輪達の巻き返しが始まった。一周目に収集したデータを元に走行ラインを修正、アルゥナイアとの差をじりじりと狭め始めた。

『儂のラインを使っている!? やはり簡単には勝たせてくれぬか、激走兄弟!!』

 野生で鍛え上げた走り方と、収集した情報を活用した走り方。上位争いは互いの得意分野を生かした高度な戦いに突入していく。一方、クランと孝太郎による下位の争いはそれとは少し違った様相を呈していた。

「お前、どえらいマシンを作ってきやがったな」

 整地されていないオフロードのコースをクランのバギーは滑るように駆け抜けていく。地面はへこみやでっぱりが多いにもかかわらず、バギーは(ほとん)ど車体が揺れていない。それはクランがオイルダンパーにまでこだわっている証拠だった。実際、そこまで手が回らなかった孝太郎のジープはコースに合わせて大きく上下に揺れていた。

「テクニックではかないませんもの。これぐらいは致しますわ」

 もちろんクランのこだわりはダンパーに限らないのだが、やはり彼女も普通の女の子。特に無人制御が好きな彼女なので、自ら操縦する技術となるとVRシステムの助けがあっても孝太郎には及ばない。周回を重ねる度に、クランとその後を追う孝太郎の距離は少しずつ詰まり始めていた。

「おおっと!」

 孝太郎との会話に気を取られたせいで、クランはコーナーリングのタイミングを誤って走行ラインが外側へやや膨らんでしまった。するとそのコーナーを滑らかに抜けてきた孝太郎のジープがクランの背後につく。クランのリードは三周目で使い果たされてしまっていた。

「ようやく捕まえたぞ、クラン!」
「先には行かせませんわよ!」

 距離がなくなると、お互いに走り方が変わる。隙あらば前に出たい孝太郎、その走行ラインをブロックしたいクラン。お互いの動きを想像しながら、その裏をかこうと必死に車体を左右に揺さぶる。孝太郎は当初、追い付きさえすれば、クランが相手ならすぐに抜けるだろうと考えていた。だが不思議とそうはならなかった。

「ええいっ、何故抜けないんだっ!?」
「貴方の事ならわたくしは誰よりもよく知っておりますもの。事前にシミュレーションくらい致しますわ」
「そこまでやるか!」

 クランはお世辞抜きで、孝太郎の事を誰よりもよく知っている。彼女は孝太郎の戦闘データを豊富に持っているので、それを元にして組んだAIとシミュレーターで何度も対戦する事で孝太郎への対策はばっちりだった。

 ―――ええい、もう四周目に入るぞ! このままだと上位勢に追い付けなくなる! 仕方ない、もう手段は選んでいられん!

 マシンの出来、孝太郎に絞った対策―――そうした事から、孝太郎は短時間に正攻法でクランを抜くのは難しいと判断した。そこで孝太郎は思い切った手に出る事にした。

「クラン」
「忙しいので手短に!」
「ちょっと太ったんだって?」
「だっ、誰がそんなデマを―――」

 がっしゃん

「―――しまったぁぁぁぁっ!?」
「ワハハハハハハッ、お先ー」

 孝太郎の言葉に動揺したクランは操縦を誤り、コースの外壁に激突。その隙に孝太郎はクランを抜き去っていく。孝太郎もまた、クランの事なら知り尽くしていた。

「あぁっ、ベルトリオォンッ、卑怯ですわよぉぉぉぉっ!!」
『がんばれメガネっ子! 孝太郎をやっつけろ!』
「そのつもりですわっ!!」

 激突したクランのバギーは早苗が霊能力でコースに戻してくれた。クランは壁への激突で壊れたVRシステムを切り離すと、スロットルを全開にして孝太郎を追う。

 ―――もう怒ったっ! 一体誰の為に体重を維持していると思っていますのっ!?

 操縦は難しくなったが、マシンはVRシステムを切り離して少し軽くなった。諦めるには早い。その瞳にはいつになく強い意志の力が漲っていた。



 埴輪達は四周目の半ばでアルゥナイアのプロミネンスカイザーに追い付いた。やはり走行中に行われるデータ解析は埴輪達に大きなアドバンテージを与えていた。しかし埴輪達はそこで手詰まりになった。その理由はやはり、情報収集を参考に走っているという部分にあった。

『ハハハッ、流石のお前達でも儂との競り合いのデータは持っておるまい! ここまでだ激走兄弟!!』

 運転席に座っている小さなアルゥナイアが牙を剥き出しにして勝ち誇る。邪魔のない状態の走りなら、そのデータを取って改善して走ればいい。だが直接の戦いが始まってしまうと、埴輪達自身の動きがアルゥナイアの走りを変えてしまい、データ通りの動きにならなくなってしまう。それでも延々とバトルを繰り返せばいずれは予想できるようになるのだろうが、その前に五周が終了してしまうのは明らかだった。

『まだだホ! おいら達兄弟には、姐さんが授けてくれたあの作戦があるホ!』
『そうだったホ! 早速やるホ!』
『来るか!? 激走兄弟ハニ&ホー!』
『行くホー!!』
『覚悟するホー!』
『『必殺、一心同体同期走法!』』

 アルゥナイアとの差を縮められない埴輪達は、ここで奥の手を繰り出した。それは二体の埴輪の同期機能を使った連携走行だった。二体の埴輪には同期して演算をする機能がある。これを利用して一つの作戦を完璧に共有する事が出来る。二人の動きはまさに一心同体、完璧な連携によって先行するアルゥナイアを追い抜かんと襲い掛かった。

『走りが変わった!? なんだこの有機的な動きは!?』
『おいら達の絆の力だホー!』
『おいら達は一心同体だホー!』
『そういう事か!!』

 事情を察したアルゥナイアだったが、すぐには対策が思い付かない。二人が同時に仕掛けてきたかと思えば、片方がフェイントをかけてもう一方を先に行かせようとする。二人が完全に連携しているせいで攻撃のパターンが複雑になり、予測もしにくければ、攻撃そのものも防ぎ辛い。アルゥナイアは埴輪達を前に出さないだけで精一杯だった。

『ええいっ、このままでは防ぎ切れん! ならばこちらから攻めるまで!』

 ガリガリガリガリッ

『ホー!?』
『カラマー!!』

 レースは五周目に入っていたが、このままではいずれ抜かれてしまう―――その危機に際し、アルゥナイアは大きな博打に出た。それはカラマのマッハファルコンへの体当たり攻撃。肉を切らせて骨を断つ、リスク覚悟でカラマをコース外へ押し出そうという作戦だった。

『どうしたどうしたぁっ!?』

 ガリガリガリガリッ

『ホー、ホッホー、ホー!!』
『踏ん張るホー! ここを耐えきればおいら達の勝利だホー!』

 アルゥナイアはコーナーで仕掛けた。つまりカーブの遠心力プラス、プロミネンスカイザーの自重がマッハファルコンにかかっている事になる。それは一台のマシンには大き過ぎる負荷だった。

 ガシャアアッ

『ホォォオオオォォォォォォォッッ!?』
『ブラザーッ!!』

 負荷に耐え切れず、カラマのマッハファルコンがコースの外へ飛び出していく。

『あとは任せたホー!』

 幸いマッハファルコンが壊れたりはしなかったのだが、五周目の後半に差し掛かりつつあるこのタイミングではファルコンが追い付くのは不可能。残念ながらカラマはここでリタイアだった。

『仇は取るホー!』

 だが埴輪達に悪い事ばかりではなかった。アルゥナイアがカラマにかかりきりになっている間に、コラマのサンダートルネードが抜き去っていたのだ。

『だが一台になればお前達の力は半減する! お前一台で儂のカイザーを止められるか、サンダートルネード!!』
『かかってこいだホー、怪獣のおじさ―――』

 そして二人のバトルが始まろうとした、その時だった。二人がいるコーナーの更に内側を孝太郎のジープが、少し遅れてクランのバギーが走り抜けていく。孝太郎とクランはアルゥナイアと埴輪達が戦っている内に追い付いて来ていたのだ。

『大きいブラザー!?』
『しまったぁぁぁぁっ!?』

 ここぞというタイミングで追い抜かれたコラマとアルゥナイア。二人は慌てて孝太郎とクランを追う。しかし先行する孝太郎達との差が縮まらないまま、四人は最終コーナーへと飛び込んでいった。

 ―――ここで内に入るのは無理か!?

 クランの先を行く孝太郎だったが、高速でカーブを曲がり切るには前輪のグリップ力不足は大きなハンデだった。最終コーナーはクランの内側に入りたかったのだが、それは出来そうにない状況だった。

「しめた!」

 だが操作を誤ったのか、クランの走行ラインが僅かに外側へ膨らむ。進路にそれだけの余裕があれば、クランの内側を回ってコーナーを抜けられる筈―――そう考えた孝太郎は自分の勝利を確信してそこへ突っ込んでいく。しかしその時だった。

 ちゅっ

「へっ?」

 がっしゃん

 頬に柔らかな何かが押し当てられ、驚いた孝太郎は操作を誤った。ジープは内側に曲がり過ぎてクラッシュ、そのまま横転した。その隙にクランのバギーは悠々とコーナーを曲がり切り、ゴールへ向かって疾走していく。それにコラマとアルゥナイアが続いたが、競り合ってしまったおかげでクランには追い付けなかった。

「ご~~~~~~る!! メガネっ子の勝ちぃぃぃぃっ!!」

 結局、一位でチェッカーフラッグを受けたのはクランだった。二位はアルゥナイア、三位はコラマ。孝太郎とカラマはクラッシュでリタイアだった。

「おほほほほほっ、わたくしの勝ちですわねっ!!」
「お前、今―――」
「貴方と同じ手ですわよ。文句はありまして?」
「―――いや、べつに………そういう訳じゃ、ないんだが………」

 孝太郎は狐に抓まれたような顔でクランを見つめる。それに対するクランの顔は、色々な感情で彩られた笑顔。いつかのように、その笑顔がとても可愛らしく見えてしまったから、孝太郎の口からは別段文句は出てこなかった。



 こうしてレースはクランの勝利で終わったのだが、それで終わりに出来ない者が続出した。負けてしまった面々と、観戦していた三人だった。

『儂が二位だと!? 万物の帝王たるこの儂が!? 納得がいかないぞ青騎士! 再戦を要求する!』
『作戦は悪くなかったホー! 課題は単独での戦闘力だホー!』
『解決策は一つ! 練習あるのみだホー! あと、姐さんに作戦を立てて貰うホ!』

 アルゥナイアも埴輪達も、この敗戦には納得していなかった。練習を重ね、車両を改善し、次なるレースで雪辱を晴らそうと考えていた。

「実におもしろかった! 次はわらわも混ぜておくれ! というか混ぜねば許さぬ!」
「あたしもやるー! 怪獣のおじちゃんみたいに可愛いの作る!」
「カラマ、コラマ、我と三人でチームを組むのはどうだろう?」

 孝太郎達のレースを見ていたティアの闘争心に火が着いていた。早苗はただ楽しそうだと考えたらしい。キリハの場合、より状況を掻き回す為に参加を決めた。思いはそれぞれだが、やる気は誰も劣っていなかった。

『それが良いホー!』
『姐さんは合理的だホー』
『それなら儂は静香を連れてこよう』
「ああっ、お前ら汚いぞ!?」
「………ベルトリオン、あなたどの口でそんな事を仰いますの?」

 この苦い敗戦を切っ掛けに、彼らは次々と立ち塞がるライバル達と、数え切れない程の死闘を繰り広げていく事になる。

 激走兄弟ハニ&ホー。真竜族最速のドライバー、アルゥナイア。

 彼らの戦いはまだ始まったばかりだった。



   ◆◆◆次回更新は4月6日(金)予定です◆◆◆

作品応援ボタン(1日1回)応援コメントを書く