5.「大脱走」

作者:坂本一馬

だが、それは同時に、身を守ってくれる遮蔽物を失うことになる。

「各機発砲を許可する! 市民に被害が出ないよう、誘導粒子砲(ホーミングレーザー)を使用し対象を無力化せよ!」

 島を警備する神器達の翼の先端に、重力制御粒子が球状に集まると、細い矢となって放たれた。
 人の盾という障害が無くなった今、島の神器たちは遠慮無く砲火を放ってきたのだ。

「蓮兄、エリ姉、あの人達撃ってきた。十六発の誘導粒子弾接近中」

 当たったら機体が(えぐ)られ穴が空くような攻撃が迫るが、レイアは慌てず冷静に状況を報告してくれている。
 戦い慣れているだけあって、レイアはオペレーターとしてかなり的確に状況を知らせてくれる。

「警備部隊も本気みたいだな。逃げるためにエリーの体力を使いたいから、一番お腹が空かない方法で回避するぞ」
「なら、ブレード展開するよ」

 エリーの返事で機体のガントレットが緑色に輝く刃を発生させる。
 避けるでもなく、防御用のフィールドを展開するでもなく、ホーミングレーザーをぶつけて相殺するでもなく、エリーは近接武器の使用を提示してきた。

「ホーミングレーザーを剣で弾けと? 相変わらず無茶なことを考えるね」
「蓮ならやれるでしょ? お姉ちゃん信じてるよ」
「当然っ!」

 上下左右十六方向からの同時攻撃に対して、蓮は機体を真っ直ぐ飛ばした。
 そして、光の矢が機体に肉薄した瞬間、機体がくるりと一回転し、全ての矢を切り払った。いっけん当たったかのようにしか見えない粒子の拡散に、敵からの攻撃が止む。

「やったか?」
「いえ、まだです! 剣でこちらの攻撃を弾かれました!」
「なにぃっ!? バカなっ!? えぇい、もう一度だ! 各機タイミングを合わせて撃てっ!」

 防衛隊は蓮達の動きに驚きはしたが、諦めてはくれないし、対応も早かった。
 その動きに蓮も、さすが本島を守る神器たちだ、と感心する。でも、感心しても捕まろうとは思わなかった。

「ムダだっての!」

 蓮は余裕すら感じる笑みを浮かべ、降り注ぐ光の雨を剣で弾いてみせた。
 そうやって圧倒的な技量を見せつけて、諦めさせるつもりだった。
だが、エリーを捕まえようとする防衛隊はしつこく攻撃しながら追いかけ続ける。
 蓮達が動く限り、攻撃をしてきそうな相手に、蓮はついに仕方無いと腹をくくった。

「エリーやれるか? これをやったら本気で狙われることになっちゃうけど」
「当然っ! お姉ちゃんだからね! この後何が起きても蓮と一緒なら大丈夫!」
「こういう時は頼もしいよホント!」

 蓮は機体を相手に背を向けたまま、翼の先端に粒子が集め、六つの光弾を生み出した。
 蓮とエリーはかわす言葉こそ少なくても、言いたいことは互いに伝わっている。
 何があっても、この先三人で必ず生き抜いてやるんだ、と。

「変に避けるなよ! 手加減してやってんだからさ!」

 蓮がトリガーを引くと、翼の先端にあった光の弾が勢いよく放たれ、緑色の尾を引いて相手に向かって飛んで行った。

「撃ってきたぞ! 散開して回避っ!」

 隊長機が蓮とエリーの攻撃に一瞬で回避を選ぶ。
 その判断はさすが歴戦の戦士といったところだ。
 だが、それはあくまで普通の敵に対してでしかない。
 蓮とエリーを相手に正しい判断を取るのなら、敵意のなかった二人に攻撃を仕掛けるべきではなかった。

「くっ!? バカな!? たった一撃で動けなくなるだと!?」
「こっちもやられました!  粒子制御装置をピンポイントに撃ち抜かれています!? 速度と高度維持出来ません!」
「ちぃっ! あのガキ。噂以上にやりやがる!」

 追っ手達が驚きと悔しさで浮き足だった。
 尾を引く光の矢が敵の後ろに回り込むと、翼の粒子放出口に飛び込んで、翼を内側から破壊したのだ。
 粒子の制御が出来なければ、重力制御が止まり、神器は上手く飛べなくなって足を止める。
 言葉で言えば非情に簡単な原理だが、高速で動いている的に向かって正確無比な射撃をこなせるペアはほとんどいない。
 ダメージこそわずかだが、防衛隊の心を折るには十分だった。

「後で反省文だろうがなんだろうが書いて謝ります! でも今はこれ以上俺達に手を出すな! 次は海に落とすぞ!」

 だめ押しに、蓮は隊長機っぽい人に通信を繋げて、一方的に脅しをかけた。
 冗談では無く本当に一方的に撃ち落とせるという実力差を見せつけたせいか、蓮達を追いかけていた六機の神器達は動きを止めている。

「ふー、これで大丈夫そうだね。とりあえず、この方面だと日本あたりに逃げようか?」
「そうだな。とりあえずはおじいちゃんの家にでも隠れて、これからのことを考えよう」
「はーい。それじゃ海中に潜って、姿を隠しながら行こっか」
「だな。空を飛んでると目立ちすぎる」

 様々な環境下で作業するために生まれたエリーたちにとって、海中の中というのも活動領域に含まれている。
 空中に比べて水の干渉を受けるので、多少の動きにくさは生じるが、追われる身となった今は堂々と姿を見せるより、多少動きづらくても姿を眩ませる方が得策だと考えたのだ。
 ひとまず身を隠し、情報を集めてから打開策を考える。今蓮の打てる最善策だ。
 だが、そうは上手く行かなかった。
 すぐに高度を下げて海に着水した瞬間、突然神器の足が青い腕に掴まれた。

「ちっ! まさかさっきの連中は囮か!」

 蓮たちと同じように、目立たないよう隠密行動をとった奴がいる。
 すぐに振り払おうと、その手を蹴り飛ばそうと空いている足を振り抜こうとした瞬間、(つか)んだ主の声がした。

「蓮! 俺だ! 武雄だ!」
「え? 何で武雄がこんなところに?」
「いいから! ハルトの腕を振りほどいて俺達に向かって砲撃してくれ! 話は俺達をMIAにしたその後だ!」
「お前、まさか!?」
「ハルトには当てるなよ? 信じてるぜダチ公!」

 モニターに映る武雄はニヒルな笑みを見せ、釣られて蓮も小さく笑った。

「エリー! 派手にやるぞ!」
「任せて! 粒子弾爆発モードで成形! ご注文は爆発です!」

 武雄に言われたとおりに青い神器の腕を振りほどくと、蓮とエリーは翼の先端に巨大な粒子の球を産みだし、海上に向けて思いっきり叩きつけた。
 叩きつけられた光球はまばゆい光を発しながら円形に広がり、爆発の勢いで海を削ってその場だけ海面がくぼんでいる。
 その光の中を蓮とエリーが突っ込み、海中へと飛び込んだ。
 すると、海底では青い神器が怒ったように手をブンブンと振り回している。
 背中に四枚の大きな翼を背負い、両手両足にも翼がとりつけられた戦闘機のような見た目の神器だ。

「てめえら! 如月ペア! 派手にやりすぎだ! 心臓がバクバクしたわ!」
「大丈夫だよ武ちゃん。ただの目くらましで派手に見えるだけだから、粒子濃度は低いし、ハルト君はピンピンしてるはずだよ?」
「え? そなの?」

 エリーの説明にモニター上の武雄が振り向くと、新しく狐耳のついた赤い瞳の青年が画面に映った。
 ぱっつんと綺麗に切りそろえられた前髪に、端整な顔立ち。クールな若執事という風貌の青年。
 武雄の相棒であり、今目の前にいる青い神器を召喚している本人、ハルトだ。

「えぇ、少し驚いて思わず急速潜行しましたけどね。僕の身体の方は何の問題もありません。僕は……ですけど」
「どういうこと?」

 もったいぶった口調で苦笑いしているハルトに蓮が首を傾げる。
 すると、ハルトの映っている画面に、ひょっこりと眠たそうな顔の少女が現れた。
 暗めの茶髪は赤いリボンでツインテールに整えられ、その頭には狸の耳のような丸っこいヘッドセットがついている赤目の少女フィリアだ。

「あれ? フィリアがいるってことはまさか?」
「美希もいるよ。でも、今すごい怒ってる。変わるね」

 フィリアがそう言って頭を引っ込めると、顔を真っ赤にして怒っている少女が現れた。
 肩まで伸びた亜麻色の髪を振り乱し、ツリ目気味だった目が怒りでよりつり上がっているように見える。
 (よし)()()()、フィリアのパイロットであり、蓮とエリーをライバル視して一方的に追い回してくる校内上位ランカーの少女だ。

「ちょっと蓮! エリー! あんた達もっと加減してよ! びっくりして尻餅つくわ、頭ぶつけるわ最悪よ!」
「な、なんで美希とフィリアまでいるの!?」
「あんた達の速度においつけるのがハルトしかいないからよ! フィリアはエリーより強いけど、足の速さだけは負けるから仕方無いのよ!」

 時折、美希の声に混ざって武雄の(いて)ぇ! 頭を蹴るな! という悲鳴が聞こえるが蓮は無視した。
 なにせ、蓮の質問に対して美希の答えはまったく回答になっていなかったからだ。
 美希は兄の拓也を探していたはずだし、武雄も恩人である拓也と美希を探していたはずだ。それが何故か蓮を追いかけて来ている。
 それも言葉を聞いている限り、エリーを捕まえようという訳でもなさそうだった。

「いや、だから、俺達を追いかけてどうするつもりだ?」
「……話を聞きに来たのよ」
「へ?」
「あんた達の話を聞きに来たの! 何であんた達が追われないといけないかって!」

 美希が一瞬恥ずかしそうに小声で喋ったと思ったら、いきなり声を荒げた。
 その瞬間、武雄からカエルを潰したような声が聞こえるが、蓮は精一杯無視した。
 生きろ武雄。

「まさか美希達も、拓也さんにエリーとレイアのことについて何か言われたのか?」
「エリーのせいで地球が攻められたとか、お兄ちゃんがさらわれたって。でも、信じられなかったのよ。少なくともあんたの姉さんの頭の緩さを知っている人間なら、そんなことしそうにないって分かるし……」
「美希……良かったのか? だって、あの腕輪には」
「……分かってるわよ。でも、あんた達も私にとっては大切な命の恩人だから……。一回くらいは信じてあげようと思ったの! モーテル様にも蓮をお願いって言われたし! ありがたく思いなさいっ!」

 神器代表のモーテルの言伝があったとは言え、長いこと蓮とエリーを敵対視してきた美希から、信じられない言葉が出てきて、蓮は少し返事に詰まった。
 ついでに、あと少しだけ素直さがあれば可愛げがあるのにと思いながらも、自分達のやってきたことを信じて貰えて嬉しかった。

「ありがとう」
「おーい……感謝するのなら俺にもしろよなー? 美希が思わずエリーのことを口走ろうとしたのを止めたのは、俺なんだから。それにお前はもう一個俺に感謝することが出来る――って、美希! だから俺を蹴るな! 俺がドMに目覚めたらどうしてくれるつもりだ!? 責任取れるのかよ!?」

 うるさい! そうなったら毎日蹴ってあげるわ! という美希の声と悲鳴をあげる武雄に届くかは分からないけど、ちゃんと感謝をしておこう。

「ははは……二人ともありがとうな」

 蓮の感謝は結局届かないだろう。なにせ、トレードマークのバンダナがずれるほど蹴られた武雄が、ついに後ろを向いて美希とワーワーと口喧嘩を始めてしまったのだから。
 そんな喧騒が嬉しくて、蓮は笑いながら後ろにいるエリーに振り向いた。
 すると、エリーも蓮と同じ気持ちだったようで、嬉しそうに笑っていた。
 自分達は一人じゃ無かった。それがどうにも嬉しかったのだ。

「エリ姉も蓮兄も嬉しそう。いいなぁ……」

 喧嘩声と笑い声で賑やかなコクピットの中、少し寂しそうにレイアが呟く。
 そんな彼女を蓮は優しく抱きしめた。
 暖かく小さなレイアの身体は、蓮の腕の中にすっぽりと収まっていた。
 まだ人の生活を始めて間も無いレイアは、まだ友達もいない。でも、いつか同じ気持ちが味わえると信じて、蓮は彼女の頭を撫でた。何せ彼女は自分達の妹なのだから。

「うん。レイアもきっと同じ気持ちになれるから、一緒に友達作りがんばろうな」
「……うん。ありがとう蓮兄」
「さてと、それじゃ、隠し事は無しで話すか。良いよな? エリー、レイア?」

 蓮はそういうと、自分達を信じて追ってきてくれた友達の信頼に応えるため、姉妹に確認を取った。

「うん。お姉ちゃんは構わないよ。私は蓮と一緒にいるし」
「レイアもいいよ。今は蓮兄がいるから」

 蓮が打ち破った二人を縛る鎖と首輪の話し。そして、今もう一度縛り付けようとしてくる手綱の話を。

「武雄、美希、聞いてくれ。全天開拓府のやつらが狙っているのは、エリーとレイアの神器に宿った能力だ」

 システム《ERIE》。神器があらゆる環境に対応するため、生体金属と同化した身体を変異させる仕組みだ。
 生物の進化は世代を超えた遺伝子の変異蓄積によって引き起こされるが、それでは時間がかかりすぎる。
 そこで生み出されたのが全身を変異させ続け、すぐに環境に合わせた肉体へと進化させる能力だ。
 人の古い器を破り、神へと進化する器。神器と言われる由縁になる自己進化能力は、全ての神器が持つはずだった。
 だが、棄民として奴隷になる予定だった人間を使って神器は生み出されたため、管理側が棄民たる神器が人を超えて神になることを忌避し、封印した。
 だが、封印は解かれ、システム《ERIE》を搭載する神器が二人だけ生み出された。
 その二人がオリジナルのエリーと、エリーをもとにクローンとして生み出されたレプリカエリーと呼ばれるレイアだ。
 だから全天開拓府は失ったシステム《ERIE》を持つ、エリーとレイアを取り戻すか破壊することを考えている。

「……思った以上に重い話しだったが、ちょっと待ってくれ蓮。でも、だからって、何でそんなに全天開拓府はエリーちゃんとレイアちゃんを取り戻すのに必死なんだ? 自己進化っていっても、単に強くなるだけだろ? そりゃぁ、まぁ、メチャクチャ強い相手っていうのは厄介だけどさ」

 武雄の言う通りで、現状エリーとレイアは最強の神器でしかない。
 戦場は単機でひっくり返せても、戦争は単機でひっくり返せない。
 戦略的勝利ならエリーとレイアが、全天開拓府の手の中に無くても何とかできるはずだ。

「その先はレイアが話すよ。お姉ちゃんもレイアもある程度他人の神器因子に干渉出来るの。まだやれてないけど、やろうと思えば、神器を人に戻すことだって、システムを持たない神器を本来の神に戻すことだって出来る。人が乗らなくても全力で戦える神器になる。実際レイアはそうしてお姉ちゃんと戦った」
「あっ! そうか神器が単独で動くのなら、全天開拓府はみんなを支配出来なくなるのか!」
「そういうこと。神器は人を乗せないと全ての力が出せない。その制限を使って全天開拓府は神器を支配した。でも、その前提が崩れる。だから、全天開拓府はレイアにお姉ちゃんを殺せって命令したし、レイアも殺そうとしていた。みんながレイアみたいにならないように」

 手をぽんと叩いた武雄に、レイアが小さく頷いて肯定する。
 棄民を奴隷として使い、反乱しないように全天開拓府は神器達に見えない手錠と鎖を繋いだ。
 その手錠と鎖が外れたら、待ち構えているのが主人だった人に対する反乱だというのは容易に想像出来たのだろう。
 全ての天を開拓し人が住める楽園を作る。という理想は、今では形骸化し、全ての天を開拓し富をかき集めることに変わっているのだろう。
 だからこそ、彼らにとってエリーとレイアは最も危険な存在となった。

「あんな事件があったのに、蓮とエリーちゃんと一緒にいるってことはただ者じゃないと思っていたけど、まさかエリーちゃんもレイアちゃんもそんなことがあったなんてなぁ」
「……ごめんなさい」
「謝られると困るぜ。別にレイアちゃんが何かをした訳じゃなし、被害者だしなぁ。というか、そうなると人質返還は完全に罠だってことになるな……。一応聞いておくけど、エリーちゃんとレイアちゃんが大人しく命令にしたがっても、人質を返してくれる保証はないって思うかい?」
「……うん。思わない。ごめんなさい。レイア達が全天開拓府に戻っても、きっと腕輪は使われる。だから、一番の最善手は逆にレイア達があの船に乗り込んで、システムをのっとること」

 レイアが首を横に振って否定し、その先の行動を提案すると、武雄は上を仰いで長いため息を吐いた。

「はー……やっぱりか。よし、話は分かった。お前さん達がこうして逃げ延びている今なら、拓也さんの無事も保証されているし、とりあえず、俺はお前達についていくよ。美希はどうする?」
「私もついていくわ。あの腕輪を解除する方法を知るには、全天開拓府の連中をとっ捕まえて聞き出さないといけないし。蓮が断ってもついていくわよ。モーテル様が私達の所在を誤魔化してくれてるし、その間に何とかして期待に応えないと」

 あっさりと蓮につくことを決めた二人に、レイアは蓮の膝の上でピクッと反応し、目を丸くした。

「……レイアの話、信じてくれるの?」

 すこし震えたレイアの声に、武雄はきょとんとした表情を見せる。

「ん? 嘘はついてないんだろ?」
「……うん」
「なら、信じる。俺達が知らない全天開拓府の裏側を知っているし、蓮にそれだけ懐いているの見りゃ、嘘をついてないってのは分かるさ」
「変な人だね」
「何故!?」
「だって、変な人だから変な人」
「あれ、おかしいな背中がゾクゾクしてきた……美希に蹴られすぎて目覚めたかな……」

 本格的に変な人になりかけた武雄が両肩を抱えて震えている振りをしている。
 それを見て、蓮は苦笑いするしかなかった。
 まったく、場を和ませるにしてはネタが危なすぎる。
 レイアに変なことを吹き込む前に急いで話題を変えなければならないと、レイアのお兄ちゃんとして。

「それじゃあ武雄もうちのじいさんの家くるか?」
「いや、それは止めた方が良い。お前の親戚は全部押さえられてるはずだ。エリーちゃんの情報からお前の情報も漏れたからな。お前の親族の特定は済んでると思うぜ。何せ世界中がお前らを狙ってるんだから」
「マジかよ……」
「だから、さっき俺がもう一個感謝することが増えるって言ったろ?」
「へ?」
「俺の実家に来いよ。これくらいの人数かるく収容してやるぜ」
「何でそんなにどや顔してるんだよ?」

 何故か自信満々に拳を握る武雄に蓮が首を傾げた。
 だが、美希もフィリアも納得したように、あー、あれね、と少し懐かしそうに呟いているのが、余計何なのか分からなくさせた。

「だって、俺ん()、旅館だぜ? 七人くらい余裕さ」

 こうして意外な武雄の出自に驚きつつ、一行は海中をステルスモードで潜行後、ずぶ濡れになりながら武雄家のバスに拾われて、新たな拠点となる旅館へと匿われた。
 少年達はその地で、世界中の敵になった姉妹を救うため、一時の休息で英気を養うことになる。

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