第一章 バイト君の確定申告

作者:中田かなた

第1章 バイト君の確定申告

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 租税のうふ。人名である。

 彼女のことを一言で表すならば、所謂『ゆるキャラ』という奴だろう。多少抜けたところのある愛嬌たっぷりの見た目。美しいでも恰好いいでも凛々しいでもない、ただ純粋にかわいいという単語がぴったりと当てはまる。低身長な上に、座敷童もかくたるやという童顔。制服を着ていてもなお小学生に間違われるその愛らしさたるや子猫級と言われる程だ。一度彼女にランドセルを背負わせて小学校に放置してみたい、というおかしな欲求すら平然と承認されてしまっている。

 さて、ここまでは余談だ。
 租税のうふという人物の表面的な部分を紹介するための余談だ。

 彼女の本質でありこの物語の本題となるのは、決して彼女の容姿などではなく、彼女の名前なのだ。租税のうふという、ふざけたネーミングセンスを持つ親から生まれた彼女は、当然のごとく税というものに興味を持ち、その知識を活用して悩める人々を救ってきた――という展開にはならなかった。

 何故なら、彼女はただの高校生だからである。税理士をしているわけでも税務署に勤めているわけでもない、ただの女子小学生……じゃなかった、女子高校生なのだ。そして、高校生は普通、税に関する悩みなんて持っていない。つまり、彼女の周りには、彼女の知識を生かせるような悩みを持った人間がいなかったのだ。まるで、事件に巻き込まれない名探偵、事件一つ無いロンドンに生まれてしまったシャーロックホームズのようなものだ。

 そんな租税さんが、己の持つ知識のほんの一部を生かすことが出来る機会に出会った。それがこの物語の起点であり、大人しかった租税さんが覚醒し、時に暴走するようになったきっかけでもあった。僭越ながら、このぼくもこの物語に関わることになった――というより、そもそもの原因になってしまっていた。

 とにもかくにも、これが最初の物語だ。人によっては、これを最後の物語としてもいいのだろう。とりあえずのところはぼくの最初の申告にお付き合いいただきたい。

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 一月上旬のある日――ぼくは大いに浮かれていた。
 先月の初めに辞めてしまったアルバイト先から『給与支払い明細書』と一緒に『源泉徴収票』という紙が送られてきたのだ。そこにはぼくが去年アルバイトをしていて稼いだ金額が載っていた。

 ※源泉徴収票
  所得総額とそれに対して支払った税金額が記載された書類のこと。
  確定申告をする時に使う。

 その額、なんと実に300,000円。
 土日に毎日五時間ずつ、半年以上働いて得た貴重な金だ。
 そう、今やぼくの通帳には300,000円が入っているのだ。特に目的があってしていたアルバイトではなかったから、稼いだお金を使う機会も無く、記帳すらしていなかったぼくにしてみれば、棚から牡丹餅といった状況だ。
 大人からしてみれば大した金額ではないのかもしれないが、高校生でしかないぼくは、300,000円で世界一の富豪にでもなったかのような気分になってしまっていた。
 何せ、今までは月5,000円の小遣いがぼくの限界だったのだ。
 300,000円という金額は、限界を突破した上に大気圏を通り過ぎ宇宙に繰り出すほどのものと言っても過言ではない。トップオブザワールドなんて通過点に過ぎなかった!

 そういうわけで、ぼくは今、近場の地方銀行に向かっている。
 別に300,000円を下ろそうとしているわけではない。そのような恐れ多い行動に小心者のぼくが出るわけが無い。ぼくの目的はただの記帳だ。銀行に預けた残高を通帳に記帳し、300,000という六桁のアラビア数字をこの目に焼き付ける。そのためだけに、ぼくは雪がまだ残っている道を意気揚々と歩いていた。

 そして、30分後――。
 通帳に記帳したぼくは愕然としていた。
 源泉徴収票に書かれていた支払額は300,000円。
 それなのに、通帳に記帳された金額は270,000万円。30,000円足りな~い。
 差額の30,000円は一体どこへ行ったというのか!? 勿論、270,000円でも嬉しい。とても嬉しい。自分で自由に使えるお金がこれほどあるというのは、非常に喜ばしいことだ。しかし、30,000円損をしているというのは、その気分に水をさすには十分すぎるほどの事実なのだ。
 ぼくは銀行から出ると、源泉徴収票を手に取る。

平成28年分 給与所得の源泉徴収票
 支払金額
  300,000円
 給与所得控除後の金額
  空白
 所得控除の額の合計額
  空白
 源泉徴収税額
  30,000円


 やはり、支払額には300,000円と記入されている。
 では、差額の30,000円はどこへいったというのか?
 まさか天使の分け前ということはあるまい。

「そんなところで何をしているの?」

 ぼくが頭を悩ませていると、横から一人の女性に声をかけられた。
 その姿には大いに見覚えがあった。150cmにも届かない低身長は、ぼくの通う高校でのマスコットの証。ニット棒からはみ出たおかっぱ頭は座敷童を連想させ、厚手のコートと手袋とマフラーは見た目の幼さにさらに拍車をかけている。
 そう。彼女こそが『租税のうふ』。
 ぼくの通う月熊高校のマスコットにして、文芸部の誇るゆるキャラだ。

「あけましておめでとう、イズミちゃん」

 租税さんは大福もちを想起させる朗らかな笑顔を浮かべながら言った。

「いや、何度も言いますけどぼくは男ですからね」
「だって、源ちゃんって呼ぶと怒るでしょう?」
「それ、しずかちゃんみたいで嫌なんですよ。普通に源君って呼んでくれればいいんですよ」
「文芸部に普通を求めるなんて、ナンセンスだわ。態々現実を飛び越えて空想世界へと想像の翼とともに旅立つ私達は、常に人とは違う視点をもって行動すべきなのよ。だから、とりあえず君の事をちゃん付けで呼んでみたのだけど」
「何度目ですか、そのネタ」

 租税さんは事あるごとに、ぼくのことを『ちゃん』付けで呼ぼうとする。
 普段、租税さんのことを座敷童やら小動物やら小学生やらと、可愛らしい呼称で読んでいることの意趣返しなのだろう。ぼくとしても、もう対応には慣れたものだ。

「それじゃあ、今年もよろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いします」

 お決まりの挨拶を終えたぼく達は、特にこれといった用事も無いのでこのまま解散――というわけには行かなかった。租税さんは、ぼくの持っている源泉徴収票を興味深げに見ていた。凝視していた。

「ところで、イズミ君はこんなところで何をしているの?」
「ぼくの口座に振り込まれている金額とこの源泉徴収票の額が違うから、どういうことなのか考えていたんですよ」
「ふ~ん。ちょっと見せてくれるかしら?」

 租税さんはぼくの承諾を待つまでもなく、ぼくの手から源泉徴収票を奪い取っていった。
 何たる早業。

「ふむふむ。成程」
「何か分かったんですか?」
「もちろん、全部分かったわ。そもそも、答えがここに書いてあるじゃない」
「そうなんですか?」
「ほら、ここの源泉徴収税額っていう欄。ここに30,000円ってあるでしょ? これが源泉徴収された所得税の金額っていうことになるの」
「……ぼくは所得税を取られていたのですか?」
「そうよ。バイトだと年末調整もろくにやってもらえない場合があるから、源泉徴収票をもらったらしっかり確認しておいたほうが――」
「どうかしました?」
「イズミ君、何をしているの?」
「何って――」

 ぼくは源泉徴収票を細かく折りたたんでいた。
 よく分からないけれど、差額の30,000円というのは、所得税のことだったらしい。まぁ、取られてしまったものは仕方が無いし、それが分かった時点でもうこの源泉徴収票に用はないはずだ。

「その源泉徴収票、どうするの?」
「ああ、これですか? 別にいらないから――」
「いらないの?」
「え、はい」

 その言葉を聴くと、租税さんは大きなため息をついた。
 まるで、駄目な子どもを見るかのような目でぼくを見ている。

「これを持っていても仕方が無いでしょう?」
「そんなことはないわ。この源泉徴収票は去年、君がどれだけ稼いだかを示す重要な書類。そして、君が搾取されたお金を取り戻すために必要なものなのよ!」
「お金をとりもどす?」
「その通り。君は所得税を払いすぎている状態にある。だから、この源泉徴収票を使って払いすぎた所得税を返してもらうことができるのよ!」
「そんなことができるんですか?」
「出来るわ」

 租税さんはきっぱりと言い切った。
 いつもの態度からは考えられないような、毅然とした言い方だ。

「でも、払いすぎているっていうのはどういうことです?」
「去年の収入額は300,000円しかないんでしょ? だったら、所得は0円になるから本来支払うべき所得税の額も当然0円になるのよ」
「そ……それじゃあ、ぼくは不当に高い所得税を払わされていたんですか?」
「それはそういう制度だから仕方が無いわ。従業員に払う給料の一部を所得税として天引きして納付する。そうでもしなかったら、しらばっくれて所得税の申告をしない人がたくさんでてくるでしょう? だから、最初にとっておいて最後に調整して返す。そういう制度になっているのよ」
「そうだったんですか……」
「それにしても30,000円は取られすぎだけどね。君のアルバイト先は少しいい加減というか、どんぶり勘定なところがあるみたいね。でも、それはもういいわ。それよりも、今君がするべきことはそのお金を取り戻すことよ」

 迷いの無いその言葉に、ぼくは希望を感じた。
 まさか――この一度は諦めた30,000円が帰ってくるのか!?

「そのために何をするべきか、君は知っている?」

 何をするべきか。
 目的は過払い金の返還。
 何だか、最近よくCMで聞くような……。
 そうか! そういうことか!

「弁護士に相談だ!」

 ぼくの回答を聞くと同時に、租税さんがずっこけた。
 それはもう見事に、耐えようとする間すらなく、コントのようにずっこけた。
 不幸中の幸いというべきか、厚着をしていた租税さんに怪我は無かったようで、租税さんは痛がりながらもすっくと立ち上がった。少し恥ずかしかったのか、それともただ寒いだけなのかは分からないが、その顔は少し赤みがかっている。

「危ないですね。まだ道には雪が残っているから、気をつけてください」
「うう、君は私が何でこけたと思っているの?」
「雪で足を滑らせたからですよね? まさか、ぼくの答えがとんちんかんだったからずっこけただなんて、そんな昭和のコントみたいなことを租税さんがするわけがないですし。それよりも、答えは弁護士に相談ということでいいんですか?」
「そんなわけがないでしょう。鶏を裂くのにどれだけ大きな牛刀を使う気なのよ、君は」
「違うんですか」
「違うわ。君がすべきこと、それは――」

「確定申告よ!」

「確定申告!? ぼくが!?」
「そうよ」
「でも、確定申告って何ですか?」
「確定申告っていうのはね『一年間に得た所得金額を総決算し、その所得金額についての税金を確定して、源泉聴取や予定納税で収めた税金と比べ、納めすぎているか又は納めたりないかを清算する手続き』のことなのよ」
「……もうすこし簡単にできませんか?」
「要するに、本来払うべき所得税額を計算して、余分に取られていたものがある場合は還付を求めるのよ。もっとも、足りない場合は追加で納めないといけないのだけど」
「ぼくは戻ってくるんですか?」
「そうね。イズミ君の場合はほぼ確実に戻ってくるから、何も気にせずやってみるといいわ」
「でも、難しいんじゃないですか?」

 そもそも、本来払うべき所得税額の計算という最初の段階すら、ぼくには理解できていない。
 でも、そんなぼくの発言は想定内だったようで、租税さんはすんなりと否定する。

「そんなことはないわ。君の30,000円を取り戻すくらいなら、印鑑と通帳と源泉徴収票とを持って税務署に行くだけですぐに出来るわ。あ、そうそう。今年からはマイナンバー関係の書類も必要ね」
「そうなんですか」
「そうなのですよ」
「ところで、いつ行けばいいんですか?」
「今でしょ! と言いたいところだけれど、もう5時過ぎているわね。税務署も閉まってしまうから、明日の朝にしましょう。というわけで、明日君の家に迎えに行くから、印鑑と通帳を用意しておいてね」
「家まで来るんですか?」
「何か問題でもあるの?」

 問題が無いというわけではない。同じ部活の先輩後輩の間柄だからと言って、自宅に異性が尋ねてくるというのは、ただそれだけで誤解を招きかねない。特に姉さんは、誤解どころか曲解して事態をややこしくしたがるというはた迷惑な性格の持ち主だ。そんな人に、はりねずみのようにかわいい租税さんの姿を見られた日には、面倒なことになること間違いない。

「あの、租税さん。何故そこまでしてくれるんですか?」
「そうね。私以外の唯一の文芸部員だから、というのもあるけど――」

 租税さんはまっすぐにぼくを見つめる。
 そして、意味深に言葉を続ける。

「好きだから」
「え?」

 突然の爆弾発言。いや、待て。これは何かの罠だ。
 動揺するぼくの中で、冷静な部分が全力で警鐘を鳴らしている。
 その警鐘は正しかったようで、租税さんは思いも寄らない方向へ、自らの想いを述べた。

「私、お金が大好きなの!」

 租税さんは最高の笑顔をしていた。
 ええ、そういうオチだと思っていましたとも!

          2

 家に帰ってから、ぼくは家の本棚を眺めた。そして、その中から『かんたんに作れる、確定申告書』という本を見つけ出し手に取った。少し古いもののようだけど、全く役に立たないということは無いだろう。普段は漫画以外読まないぼくだけど、何の知識も無いまま確定申告に挑むのはやはり不安だ。付け焼刃でもある程度のことは知っておきたい。
 ぼくがその本を持って部屋に向かうと、父さんが話しかけてきた。

「お前、確定申告するのか?」
「一応。父さんはやったことがあるの?」
「いや、やってみようと思ったことはあるんだけど、よく分からなくてやらなかった」
「これ、借りていい?」
「ああ、いいぞ」

 持ち主の了承を得て、ぼくは自室へ行った。
 本を開いてみると――うん、まぁ、色々書いてあった。
 確定申告書のAとかBとか、収入がどうとか、所得がどうとか、控除の種類とか、沢山ありすぎて訳が分からない。一つのページにたくさんの情報があって、何を理解すればいいのかもわからない。ネットで簡単? 全然簡単じゃない。何一つ分からないのは、ぼくが馬鹿だからなのか?
 結論。
 ぼくに確定申告は無理だ。

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 翌日、租税さんは予告どおり朝十時にぼくの家の前に現れた。
 昨日と同じように、完全な防寒装備だ。

「おはよう」
「……おはよう――ございます」
「どうしたの、イズミ君? 随分とテンションが低いわね」
「ああ、はい」

 ぼくは確定申告の本を租税さんに見せる。
 租税さんは本を手に取ると、ぱらぱらと捲ってからすぐに閉じた。

「確定申告のやり方が書いてある本があったから、読んでみたんです」
「へぇ、どうだった?」
「訳が分かりませんでした」
「うん、それでいいわ」
「え?」

 訳が分からないのに、それでいいとはどういうことだ。

「ところで、イズミ君ってゲームをする時は攻略本を買って全ての隠し要素やアイテムをコンプリートしないと気がすまなかったりするタイプなのかしら? それとも、クリアできれば途中のイベントやアイテムを取りこぼしても気にならないタイプ?」
「どちらかというと後者ですけれど、それが何か関係あるんですか?」
「今回もそういう話なのよ。今回はアルバイトの源泉徴収税を取り返すだけだから、その本を読んでも九割以上は使わない知識になってしまうの。そういう本は確定申告に関する情報を網羅して書かれているから、イズミ君のような必要最低限の情報で十分な人にとっては、敷居が高くなってしまうこともあるわ」

 租税さんは本を僕に返す。
 言われてみれば、確定申告をしている人がこの本に書かれていることを隅から隅まで理解しているとは考えにくい。もっとも、ぼくは最初の隅の部分すら理解できずに諦めてしまったのだけれど。

「ちなみに、税務署にいくと『確定申告の手引き』というものがあって、それを読んでみると勉強になるわ。国税庁のサイトにも載っているのよ。無料だし、最新のものだから、興味があるなら一度目を通してみるといいと思うわ」
「前向きに検討します」
「あからさまにやる気の無い返事ね。でも、いいわ。理解は後回しよ! 今日のところは確定申告だけやってしまいましょう」
「いや、でも難しいんじゃないんですか?」
「全然難しくないわ」

 租税さんは断言する。
 でも、あの本に目を通し、全く理解できていなかったことで、ぼくの心は折れかけていた。

「租税さん。ぼくでも、確定申告書を完成させることができるんですか?」
「え、知らない。というか、イズミ君が一人でやるのは多分難しいんじゃないかしら?」
「ええっ!?」
「それでも何の問題もないわ」
「もしかして、租税さんが作ってくれるんですか?」
「それは無理。知識的に出来ないことはないというか、正直言って、余裕で出来るんだけれども、他人の確定申告書を私が作るわけには行かないの。だから、昨日言った確定申告セットを持って税務署に行くわよ」
「税務署!?」
「学生のアルバイト程度なら、確定申告についての知識がゼロでも、必要書類さえ持っていけば何とでもなるわ! 君がすべきことは、源泉徴収票と印鑑と通帳とマイナンバー関係書類を持って税務署に向かうこと。それだけ。ここまで、私は一切難しいことは言っていないはずよ。それでも君が確定申告は難しいんじゃないのかというのなら――その幻想をぶち壊すわ」

【マイナンバー】
 平成27年10月から、日本国内の全住民に通知された、一人ひとり異なる12桁の番号のこと。
 様々な行政手続きで使われることになる。確定申告の際は個人番号カード又は通知カードが必要。
  1  個人番号カード
      顔写真入りのカード。
      個人番号と身元確認の両方をこれ一枚で出来る。
 2  通知カード
      個人番号が載っているカード。顔写真は入っていない。
      身元確認ができないため、運転免許証や被保険者証などを一緒に提示する必要がある。

【印鑑】
 基本的にはシャチハタ不可。
 朱肉を使う印鑑を使用する必要がある。

 租税さんは突然右手でぼくの腕を掴み、走り始めた。厚着しているのに、ペースが落ちる気配が全く無い。見た目からは想像できないような無尽蔵の体力だ。
 そして五分後――。

「ついたわ!」

 ぼく達は税務署の前にいた。
 家の近くにあったのに、いままで何故気づかなかったのだろうか。

「随分近いところにあったんですね」
「ご都合主義よ」
「何の話ですか?」
「こっちの話。気にする必要は無いわ」

 租税さんは何かをごまかすかのように言った。
 変な電波でも受信してしまったのだろうか。

「ちなみに、今は確定申告をするのに丁度いい感じのタイミングなのよ」
「タイミング?」
「本来、確定申告というものは、毎年2月16日~3月15日に行うものなの。ただ、あまり知られていないけれど、君のようにただ納めすぎた税金を返してもらうだけなら、その前でも税務署ですることが出来るのよ。申告期間中になると、確定申告の会場は洒落にならないくらい混むわ。寒い中、建物の外まで列ができることもあるそうよ。出来ることなら、混雑する期間より前に税務署で済ませておくといいわね。そして――昨日言えなかった台詞を言わせてもらうわ!」

「……え?」

 租税さんは、何かを期待するようにぼくを見ている。
 昨日言えなかった言葉――ああ、そういうことか。

「租税さん」
「何かしら?」
「ぼくはいつ申告すればいいんですか?」
「今でしょ!」

 どうやら、これで満足したらしい。

「でも、僕は確定申告なんて出来ませんよ」
「だから、さっきも言ったでしょ? そもそも、自分だけでやる必要なんてないのよ。さっさと申告用に用意されている部屋に行きましょう。確か、ここの三階だったはず」

 租税さんに連れられて、ぼくは薄暗い階段を上っていった。そして『確定申告受付』という文字が印刷された紙が貼ってある部屋を見つけると、租税さんは何一つためらうことなく、部屋の中に入っていった。ぼくもそれに続く。
 まだお客さんが少ないようで、二つ並んでいるテーブルのうち一つは開いていた。
 税務署の職員らしき女性がぼく達に気づくと、こちらに寄ってきた。

「確定申告ですか?」
「はい、そうです」
「それでは、こちらの席へどうぞ」

 案内されるがままに椅子に座る。
 正面には、一台のパソコン。どうやら、これを使って申告書を作るらしい。

「それでは、どなたの確定申告になりますか?」
「あ、ぼくのです。コレなんですけど」

 ぼくは鞄から源泉徴収票を取り出した。

「はい、分かりました」

 そうですか、分かってしまいましたか。まだ一言しか言っていないんですけどね。

「あの、確定申告のやり方とか全然分からないんですけど」
「それでは、このボタンをクリックしてください」
「あ、はい」
「では、生年月日を入力してください」
「あ、はい」
「では、ここをクリックして、源泉徴収票どおりの数字を入力してください」
「あ、はい」
「では、ひたすら『次へ』をクリックしてください」
「あ、はい」
「では、氏名・住所・電話番号・個人番号を入力してください」
「あ、はい」
「これで、300,000円が帰ってくることになります。還付先を入力してください」
「え?」
「通帳を見ればいいのよ」

 租税さんのアドバイスにより、ぼくは持ってきた通帳を取り出し、そのまま入力する。

「これで完成です」
「完成!?」
「はい。確定申告書のファイルが出来ましたので、印刷をします。印刷ボタンを押してください」
「あ、はい」

 印刷ボタンをおすとプリンタが動き始め、書類が印刷されて出てきた。
 出てきた書類の上部には『確定申告書B』と書かれていて、何やら細かい数字が書かれている。

「はい、それでは通帳はお返しします。それと、こちらが確定申告書になります。これに住所と名前と個人番号を記入して、印鑑を押してください」
「もしかして、確定申告書ができちゃったんですか?」
「はい。収入が低いので、所得税もかかりませんね。だから、源泉で引かれていた金額は全て戻ってきますよ」
「本当に30,000円がもどってくるんですか?」
「……はい、そうですよ」

 何だか、職員さんが若干引いているような気がする。
 だけど、これを驚かずにいられるだろうか。租税さんに言われるがまま税務署に来てみたら、ほんの一瞬で30,000円を返してもらえることになったのだ。

「貴女が神か!?」
「いいえ、税務署職員です」

 普通にスルーされた。

          4

 申告を終え、ぼく達は税務署を後にした。
 しかし、確定申告がここまで簡単だとは思わなかった。あまりにあっさりと終わってしまったので、拍子抜けしてしまったくらいだ。これで30,000円が戻ってくるなんて、バイトの時給の安さを考えると、信じられないくらいお得な話だ。

「租税さん、ありがとうございます。租税さんのおかげでお金が帰ってきます」 
「大したことはしていないわ。逆に言えば、それだけ取られていたということ」

 確かに30,000円取られていたのは大きい。

「それにしても、あの職員さん、リアクションが薄かったですね」
「あれは仕方が無いわ。税務署の職員は、今君がしたような申告書を作るのには慣れているのよ。イズミ君のように、確定申告についてほとんど何の知識も持たずに来る人もいるから、一々対応するほど珍しいリアクションじゃないんでしょうね」
「ぼくのようなリアクションを取った人がたくさんいるっていうんですか……」

 そうだとしたら、ぼくは随分と冷たい目で見られていたんだろう。
 思い起こすと、職員さんの笑顔が少し引きつっていたようにも思える。

「ところで、租税さん」
「何? 何だか、ろくでもないことを思いついたような顔をしているけれど」
「少し考えたんですけど、確定申告のことを知らない生徒って沢山いるんじゃないかと思うんですよ」
「まぁ、理解している人はそう多くは無いわね」
「だから、確定申告をしてお金が戻ってくるなんて思ってもいない人たちのために、租税さんが確定申告書を作ってあげて、戻ってくるお金の一部を手数料としてもらっちゃうっていうのはどうですか?」

 租税さんは動きをピタリと止めた。

「なんという、お上をも恐れぬ発言……」
「駄目ですか?」
「駄目も何も、犯罪よ」
「犯罪!?」
「そういうのは税理士以外がやったらお縄を頂戴することになるのよ」
「そうなんだ……」

 それは危なかった。これほど簡単なら、アルバイトをするよりも簡単に大金を稼げるんじゃないかと思ったんだけど、そう上手くはいかないらしい。

「それにしても、租税さんに会わなかったら危なかったですよ。絶対、この30,000円は取られたままになっていたと思います」
「そうね。知らなければ損をする。それだけのことよ」
「でも、それって酷くないですか?」
「酷い?」
「だって、高校生は普通確定申告なんて知らないでしょう?」
「……イズミ君は本当に知ろうとしたの? 確定申告に関するニュースや広告を見て『へぇ、今は確定申告の時期なんだ』とか思って、それでおしまいだったんじゃないの? 自分には関係ないと勝手に思い込んでいたんじゃないの?」
「それは思っていたかもしれないですけど、そんなの、誰も教えてくれないじゃないですか」
「FUCK YOU!」
「!?」
「ぶち殺すぞ、ゴミどもめ!」

 租税さんは語調を強めて言った。
 心なしか、顔が少し角ばっているような気がする。

「ど、どうしたんですか?」
「誰も教えてくれなかった……。確かに、そういうこともある……。だが、それで知らないままでは永遠に負け組! 負け組! 損をするだけ!」
「ああ……」
「自分の損に気づきもしない……。そう……。無知……。無知は罪なのだ……」
「うう……」

 言われている内容よりも、租税さんの態度の急変の方が気になる。こんな租税さんは初めてみる。一体、どんな発作が租税さんの身に起こったというのだろうか。

「でも、君の言うことにも一理あるのよ」
「え?」

 気がつくと、租税さんはいつもの調子に戻っていた。さっきまでのは気のせいだったのだろうか? いや、そんなわけは無いのだけれど、今は気にしないことにしよう。

「はっきり言ってしまえば、税金というものは分かりにくい。本を読んだところですぐに理解できるとは思わないし、よく分からない状況で確定申告書を自分で作れるとも思わないわ。でも、そこで思考停止してしまったら、一生損をするだけよ」
「それじゃあ、どうすればいいんですか?」
「そんなときこそ、行政サービスを利用すればいいのよ! 確定申告については、大半の自治体が毎年2月16日~3月15日の日程で確定申告相談会というものをやっているわ。そこに源泉徴収票と印鑑と自分名義の通帳とマイナンバーカードを持っていけば、役所の職員がいい感じにやってくれるわ。後は、通帳にお金が入ってくるのを待つだけよ!」
「そんなものがあったんですか……」
「その期間でなくても、税務署ならば色々相談に乗ってくれるわ。さっきのセットを持っていけば、さっきのように税務署の職員がいい感じに確定申告書の作り方を教えてくれることでしょう。特に、君のように多く取られすぎた源泉徴収税を戻してもらうための手続きなら、今のように正月明けから申告を受け付けてくれるわ」

 租税さんは言葉を続ける。

「重要なのは、分からないなら分からないまま分からないことを聞きに行けばいいということよ。そこで、自分がすべき最低限のことを教えてもらえばいいの。簡単なものであれば地元の自治体でも十分に対応できるし、複雑なものなら税務署に電話して聞いてみてもいいわ。まずは地元の自治体か税務署に質問をすることから始めるといいんじゃないかしら」
「本を読んで無理して理解しなくてもいいんですね」
「理解しているに越したことはないけれど、大変よ。分かっている人に相談するのが一番楽な道だと思うわ」
「確定申告の本にもそう書いておいてくれればよかったんですけど」
「多分、問い合わせ先として普通に書いてあるわよ」
「最初に書いておいてくれればいいのに……」
「最初に他人に相談して終わりに出来るなんて書いちゃったら、確定申告のやり方について書かれたその本の売れ行きが悪くなっちゃうかもしれないでしょう?」
「あ、それはそうですね」
「でも、知識をつけることは悪いことじゃないわ。余裕があるようなら勉強してみてもいいと思うわ」
「来年は少し考えて見ます」
「そうしてみて」

 租税さんは目を細めながら、楽しそうに言った。

「ところで、イズミ君」
「何ですか?」
「戻ってきた30,000円を何に使うつもりなの?」
「特にこれといった目的は無いんですけど」
「それじゃあ、とりあえず、ライトノベルでも買ってみたらいいと思うわ。君は文芸部員なのに部室にある漫画ばかり呼んでいるんだから、たまには活字に触れるべきよ。いきなり純文学とは言わないから、ライトノベル辺りから少しずつ活字に触れていってみたらどうかしら?」
「……そうですね。租税さんのおかげで、お金も戻ってくることですし、たまには小説も買ってみようかと思います」
「それはいい心がけね。ちなみに、私のおすすめは赤い背表紙のもの全般よ」
「赤い背表紙ですか?」
「ええ、そうよ」
「分かりました。検討してみます」

          5

 一ヵ月後。
 ぼくの通帳には、申告書通り30,000円が戻ってきていた。
 ぼくはそれを報告すべく、文芸部の部室へと行った。
 その日も、租税さんはぼくよりも早く部室に到着し、静かに本を読んでいた。

「租税さん、またヒーターの前を独り占めしていますね」
「早い者勝ちよ。ヒーターに当たりたかったら、私よりも早く来て読書をはじめることね」
「まぁ、いいです。租税さんには、年始にお世話になりましたから。あの、昨日通帳の記帳をしてみたら、おかげさまで30,000円が無事戻ってきていました」
「それは良かったわね」

 租税さんは当たり障りのない返事をし、ちらりとぼくの手元を見た。
 ぼくの手元には、昨日本屋で買った新品のライトノベルが入った袋があった。租税さんのお勧めどおり、帰ってきたお金で買った赤い背表紙のものだ。租税さんは、それが気になるらしく、ちらちらと袋に視線を向ける。

「ところで、イズミ君。その袋に入っているのは何なの?」
「ああ、これですか。租税さんのお勧めどおり、赤い背表紙のライトノベルを買って読んでみることにしたんです。今までは漫画しか読んでなかったんですけど、ライトノベルも読んでみると面白いものですね」
「ああ、苦節一年弱。とうとう、この後輩に文学の面白さの本の一部を分からせることができたのね。この一歩は大いなる一歩よ」
「そこまで大げさに言わなくてもいいんじゃないですか?」
「ちなみに、どんな本を買ったの?」
「宇宙人、未来人、超能力者が――」
「それスニーカー文庫ォォォォ!!」

 どうしたのだろう? 突然奇声を上げて。
 何か意に沿わないことでもあったのだろうか?

「あ、これだけじゃないですよ。もう一冊別のものを買ってみたんです」
「ああ、うん。どうせ電撃文庫でソードアートオンラインとかいうオチなんでしょう? あれも背表紙は赤いからね」
「いえ、『魔人勇者(自称)サトゥン』とかいうやつです」
「まさかのモンスター文庫ォ!?」
「どうしたんですか、租税さん?」
「べ、別にどうもしないわ。ええ、想定の範囲内ですとも。電撃文庫からKCG文庫まで、ありとあらゆる覚悟をしたから残りの一冊が何なのか、教えてくれるかしら?」
「ああ、これですか? これは『命がけのゲームに巻き込まれたので嫌いな奴をノリノリで片っ端から殺してやることにした』という長文系タイトルのライトノベルですよ。友達のいない主人公が、気がつくと白と黒の空間に同級生とともに閉じ込められていて、ナナシという謎のゲームマスターに導かれて命がけのゲームに挑んでいくというデスゲームものですね。ライトノベルにおいてデスゲームものは珍しくも無いですが、主人公がクズというのが新しいというか――」
「まさかのステマ!? いや、本意ではあるはずなのに……。なんなのかしら、このやってしまった感は。ホビーなジャパンを宣伝するつもりではあったのに……」
「この話、まだ続けますか?」
「いいえ、止めて置きましょう」

 租税さんは大きく深呼吸をして、息を整えた。

「さて、それじゃあイズミ君。そろそろ、部活を始めましょうか」
「始めるって、何かするんですか?」
「あれ、表の看板は見なかったの?」
「看板?」

 ぼくはドアを開けて、廊下に出る。部室のドアには『租税相談承リマス』と油性ペンで書かれたA4サイズのコピー用紙が、貼られていた。

「これ、何なんですか!?」
「とりあえず、寒いからドアは閉めてくれるかしら?」
「あ、はい」

 平坦な声にぼくの気勢は削がれてしまい、普通にドアを閉めた。

「それで、租税相談ってどうするんですか?」
「君が前、高校生は確定申告のことをほとんど知らないって言ったのを覚えている?」

 確かに、言った覚えがある。知らない人間は損をする――それは仕方が無いことだけど、何とかしたいという気持ちがぼくにはあった。

「だったら、教えてあげればいいのよ。そういうわけで、活動内容の一つに租税相談を加えてみたわ。もちろん、文芸部の部活動の一環としてするわけだから、無償よ。あまり専門的なことには答えられないけど、高校生の相談程度なら私にも出来るわ」
「租税さん……」
「何?」
「無償だけど、恩を売って文芸部に相談者を入部させようとか考えてませんか?」
「イズミ君。これから一緒に、頑張っていきましょう」
「完全にスルー!?」

 驚くぼくをよそに、租税さんは楽しそうに笑っていた。
 まぁ、ぼくもこの趣旨に依存があるわけじゃない。ぼくと同じように、何かを知らないことで損している人がいるなら、助けてあげたいとは思う。それに、租税さんと一緒ののほほんライフもぼくは決して嫌いではない。

「租税さん」
「はい?」
「これからも、よろしくお願いします」
「うん、こちらこそ」

 ぼくと租税さんの相談会は、まだまだ始まったばかりだ。
 ただし、租税さんはあと一年程度で卒業だけど。


《補足1》
租 税「はい、そういうわけで始まりました租税少女。見ての通り、所得税を中心とした税をテーマとした珍しい小説よ。まず、この補足コーナーについて説明するわ。ここでは、本編中に出てきた税に関する言葉や、本編中で言及できなかった部分について説明させてもらうことになるわ。でも、現時点では特に補足することも無いから、つかみというか私とイズミ君の雑談コーナーになるわね」
イズミ「そんなコーナー作っていいんですか? というか、そもそも確定申告をテーマにしたラノベって需要あるんですか?」
租 税「知らないわ。でも、最近のライトノベルって重箱の隅にあるネタを探し回っている感じがするのよね。だったら、確定申告をテーマにしてみるのもいいんじゃないかと思うわ。この本を買って確定申告をすることで、この本以上のお金が戻ってきたら、それこそ本当にお買い得っていうものでしょう? 登場人物冥利に尽きるというものでしょう?」
イズミ「それはそうですけど」
租 税「それに、以前『もしドラ』が爆売したことがあったでしょう? 普段本なんか読まなくても何となく流されて買っちゃった人も多いであろう、それでいて実生活には何一つ役に立たせることが出来ていないであろう、現在ブックオフで好評発売中のあの本よ」
イズミ「租税さんは何に喧嘩を売っているんですか!?」
租 税「喧嘩なんて売っていないわ。私は租税相談で恩を売っているだけよ」
イズミ「上手いことを……」
租 税「案外『ラノベで分かる確定申告』みたいなものがあったら、条件次第では爆売するんじゃないかと思うのよ。確定申告について説明しているコーナーに置かれちゃったら、それこそ件の本のように飛ぶように売れると思うのよ」
イズミ「そうですかね……」
租 税「冗談よ。大体『マンガで分かる』とか銘打たれた本を読んでみて、内容が理解できたためしがないわ!」
イズミ「身もふたもないことを……」
租 税「でも、確かにあの本は面白かったわ。『もしもドラえもんがのび太の下へ現れなかったら』」
イズミ「想定していたものと違った! その本って、実在するんですか!? というか、普通にジャイ子と結婚して元のセワシ君が現れるだけじゃないんですか!?」
租 税「そうね。でも、ジャイ子って酷い扱いをされていると思わない。のび太君は彼女との結婚を回避するために立派な人間になろうとするのよ。ジャイ子というのは、失敗の象徴なのよ。ジャイ子、かわいそう」
イズミ「あの、そろそろ話を元に戻しませんか」
租 税「そうね。とにかく、ここまででいいたいことは、税金のことなんて今から勉強してもよく分からないんだから、分かっている人を頼ればいいってことなのよ。税務署も区市町村の税務窓口もある程度は相談に乗ってくれるはず。消費税が上がるなんて騒ぐ前に、自分の税金を安くするための方法を考えるべきなのよ」
イズミ「はい、分かりました」
租 税「それと、税務署や自治体での対応は地域によって異なることがあるわ。確定申告をはじめてする時は、事前に税務署や市区町村に電話で問い合わせをするといいわね。税務署に行って『よそは知らないけど、ウチではやらないよ』とか言われても責任は一切取らないわ」
イズミ「予防線をはりましたね……」
租 税「何のことかしら? さて、第二章では、税金を安くするための控除をメインにお話が進むことになるわね。控除が増えれば税額が減るわ。第二章を読んで、自分や家族はこの控除が使えるんじゃないかってアタリをつけてみるといいわ。それでは、第二章で会いましょう」


《補足2》

租 税「さて、補足その2をやるわ」
イズミ「補足することはなかったんじゃないんですか?」
租 税「この世にはとんでもない現象があることを思い出してしまったのよ。その名も、『本を読み終わったはいいけど、今読んだばかりの本の内容を思い出せない現象』よ!」
イズミ「ああ、たまにありますよね。読み返すと読んだ覚えはあるけれど、全く身にはついていないというやつですね」
租 税「それよ! だから、ここで第一章の内容を簡単に説明しておこうと思うの。第一章で言いたかったのは、基本的には確定申告は難しくないということ! それと、分からないことは分かっている人に聞けばいいということ! 聞く相手は、税務署や地元自治体がいいんじゃないかと思うわ。あと、一番重要なのは、とりあえずやってみるということ! 以上!」
イズミ「本当に終わりですね?」
租 税「……多分」

《補足3 確定申告書の作成手段》

租 税「……」
イズミ「はい、補足ですね。まだあったんですね」
租 税「今度こそこれで最後になるわ! 今回、イズミ君は税務署に行って確定申告をしたけれど、自分で出来る人は国税庁のホームページにある確定申告書等作成コーナーで作ることもできるのよ。前年分のデータを取り込んだり出来てとても便利だから、ある程度知識のある人はこれを使って作ってみるといいわね。その場合、作成したものについては書面で郵送するか、e-TAXでインターネット経由で送るかすることになるわ」
イズミ「ぼくには無理ですね」
租 税「自分で出来なければ、普通に税務署や自治体を頼るといいわ」
イズミ「終わりですか?」
租 税「終わりよ。今度こそ!」

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